六本木ヒルズからの七転八倒

【入札編65】遠くのドトールまで

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エレベーターが一階に到着し、建物の外へ出た。ずっと室内で仕事をしていると、汚れているはずの東京の空気ですら美味しく感じるから不思議だ。

「向こうの橋を渡った先にある『ドトール』にしよう」

美瑠希は道路の向こうを指差して、さっさと歩き始めた。どうやら私に選択肢はないようだ。私は慌てて美瑠希のあとを追った。

こうして美瑠希と二人で歩くのは久しぶりだった。少し前までは毎日のように仕事帰りに駅までの道のりを歩いていたというのに。その時は快人が付いていることも多かったが。

美瑠希の横顔をチラリと覗きこむ。一見すると普段と変わりないようにも見えるが、やはり落ち込んでいるようだ。

「『ドトール』って結構遠いよね?よく行くの?」

間をもたせようと、ひとまず当り障りのない話題を振ってみた。だが、美瑠希から返ってきたのは「たまにね」というだけのそっけないものだった。

仕方なく私は、先ほど仕事場で起こったことに言及することにした。美瑠希の頭の中はそのことで一杯だろうと思ったからだ。信号が赤に変わり、横断歩道の手前で足を止めた。

「さっきは災難だったね。山倉さんもあんな言い方は無いよ。快人の時と何も変わってないじゃん。それに誤削除じゃなかったんだし、気にすることでも無いんじゃない?」

通り過ぎる車の騒音にかき消されないように、私は一気にまくしたてた。

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長崎 正吾

  • 名前:長崎 正吾
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  • 1978年生まれ。34歳の夏、職を失う。20代の頃にスロットで生活していたことを思い出し、フラリとホールへ舞い戻る。そのままスロット生活者へ。基本的にはジャグラーシリーズのみを打つスタイル。スロットで糊口を凌ぐ傍ら、iPhone/Android向けアプリ「ジャグラーで喰う技術1&2」をリリース。

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