六本木ヒルズからの七転八倒

【入札編71】英雄は遅れて登場する

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削除基準書の同じページを見ているであろう美瑠希が、本田の話しに何度も頷いている。小柄な美瑠希が、いつも以上に小さく見える。

口を真一文字に締めて神妙な面持ちで本田の話に耳を傾ける美瑠希の元に、あの男――山倉がノシノシと歩み寄ってきた。

「本田さん、やっぱり『削除』で間違いないッスよね?」

この部屋にいる全ての人間が分かりきっていることを、山倉は念押しするように尋ねた。

「うーん、そうだね」

「ってことは、美瑠希が『誤スルー』で、俺の『削除』が正しいってことッスよね?」

私は机を蹴り飛ばしたくなる衝動を抑えることはできたが、舌打ちすることは止められなかった。

快人が『誤削除』したときに、ミスを晒しあげるのは良くないと周知されたはずなのに、それから日も浅い美瑠希のミスに対してこの仕打ちだ。なんという性格の悪さだろうか。

美瑠希は下唇を噛んでじっと黙っている。

「本田さん!今度から、『誤削除』とか『誤スルー』したヤツにはペナルティ課しましょう。時給下げるとか休憩時間無くすとか。そうしないといつまでたってもこんなくだらないミスするヤツがいなくならないッスよ」

山倉の暴言が止まらない。本田は頬に手をあてて考え込んでいる。

私は居ても立ってもいられなくなり、思わず椅子から立ち上がった。

「ちょっ……と。その……」

本田と美瑠希、そして山倉の視線がこちらに突き刺さる。感情任せに立ち上がったものだから、言葉が出てこない。

「だから……今回の件は……」

私がしどろもどろになっていると、部屋のドアノブが回る音が聞こえた。

苦し紛れにそちらの方に顔を向けると、そこには快人が立っていた。

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長崎 正吾

  • 名前:長崎 正吾
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  • 1978年生まれ。34歳の夏、職を失う。20代の頃にスロットで生活していたことを思い出し、フラリとホールへ舞い戻る。そのままスロット生活者へ。基本的にはジャグラーシリーズのみを打つスタイル。スロットで糊口を凌ぐ傍ら、iPhone/Android向けアプリ「ジャグラーで喰う技術1&2」をリリース。

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