六本木ヒルズからの七転八倒

【入札編76】女子の恩返し

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昨日、仕事を終えて快人と職場を出ると、そこに美瑠希が佇んでいた。
どこか緊張した面持ちの彼女は、少しだけ頬を上げて私たちに言った。

「もし時間あったらご飯食べに行かない?」

おそらく彼女なりのお返しなのつもりなのだろう。
これを千載一遇のチャンスと言わずしてなんと言う。私はニヤつきそうになる口元を手で押さえながら答えた。

「俺はこのあと彼女と予定があるから無理だわ。二人でご飯食べてきなよ」

もちろん、そんな予定は無かった。だが、私は躊躇なく嘘をついた。

少し困惑したように眉をハの字に曲げる美瑠希の脇をすり抜け、私は二人に向かって右手を上げた。

「んじゃ、また明日。ふたりともお疲れ!」

一方的にそれだけを言い残し、駅へと向かって早足で歩き始めた。一刻も早くここから遠ざかることが二人のため――というか、快人のためだと思ったからだ。

その後、二人の間に何があったのかは、あえて訊かずにいた。二人とも大人だし、快人に至っては結婚歴――ネットゲーム上でのことだが――まであるのだ。きっとうまくやったのだろう。

快人の視線がモニタの右下に動いたのがわかった。私からのメッセージに気がついたようだ。その文章を目で追ってから、黙ってキーボードを叩き始めた。

タンッとエンターキーを叩く音が聞こえると同時に、私のチャットにメッセージが届いた。

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長崎 正吾

  • 名前:長崎 正吾
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  • 1978年生まれ。34歳の夏、職を失う。20代の頃にスロットで生活していたことを思い出し、フラリとホールへ舞い戻る。そのままスロット生活者へ。基本的にはジャグラーシリーズのみを打つスタイル。スロットで糊口を凌ぐ傍ら、iPhone/Android向けアプリ「ジャグラーで喰う技術1&2」をリリース。

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