六本木ヒルズからの七転八倒

【入札編77】予防線が、うぜぇ

←BACKパソコン版【入札編76】女子の恩返し
←BACKスマホ版【入札編76】女子の恩返し

――別に何もない。ただ、パスタ食べてワイン飲んで帰った。それだけ。

快人からのメッセージは、味も素っ気もないものだった。快人の性格がそうであるから仕方がないのだが、これでは少しくらい進展があったのか、文面通り何も無かったのか判断しかねる。私はさらに探りを入れてみることにした。

――何時くらいまでいたの?話は盛り上がった?

――九時くらい。話が盛り上がったかどうかは個人の感想に依るもの。

快人からの返答を読んで、思わず左右の眉が上下に波打った。
九時まで一緒にいたというのはまぁ良い。およそ三時間くらいは一緒に過ごせたというならば、快人にしては上出来だろう。

問題はその後の一文だ。読んだ瞬間、心の中で「うぜぇー」と唸り声を上げてしまった。予防線を張り巡らせるような物言いに、私は脱力してしまった。あそこまでお膳立てを整えてもらっておきながら、お新香を食べただけで満腹だとでも言うのか。

私は力なくキーボードを叩いた。

――なんだ。盛り上がらなかったんだ。せっかく向こうから誘ってくれたのに。

すぐに快人から返信が入った。

――盛り上がらなかったとは言ってない。

うぜぇ……と思いつつ、さらに煽ってみる。

――それは快人個人の感想に依るものでしょ。んじゃ今夜は俺が美瑠希誘って二人でメシ喰ってきますわ。

そう書いて送信すると、快人は少し体を前に屈めて覗き込むよにこちらを見た。

まるで睨むようなその様子に、ちょっと言い過ぎたかなと後悔していると、快人は再びキーボードを叩き始めた。

――次に送るメッセージ読み終わったら、すぐにチャットのログを削除して。

左胸のあたりがチクリと痛むのを感じた。
私はひとつ大きく深呼吸をして、――了解――と送信した。

→NEXTパソコン版【入札編78】今度、告白する
→NEXTスマホ版【入札編78】今度、告白する

profile

長崎 正吾

  • 名前:長崎 正吾
  • 性別:
  • 誕生日:
  • 血液型:
  • 出身地:
  • 好きなもの:
  • 嫌いなもの:
  • 1978年生まれ。34歳の夏、職を失う。20代の頃にスロットで生活していたことを思い出し、フラリとホールへ舞い戻る。そのままスロット生活者へ。基本的にはジャグラーシリーズのみを打つスタイル。スロットで糊口を凌ぐ傍ら、iPhone/Android向けアプリ「ジャグラーで喰う技術1&2」をリリース。

calender

4月≫
 12
3456789
10111213141516
17181920212223
24252627282930

戻る