六本木ヒルズからの七転八倒

【入札編78】今度、告白する

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キーボードに指先が触れるたびに、カタカタと乾いた音を響かせる。そちらを見ていなくても、右手の小指でエンターキーが押されたのがわかった。

私は視線だけをモニタの左下へと動かし、そのメッセージをとらえた。

――今度、告白する

一瞬、眼球が激しく震え、同時に文字が読めなくなった。何度かまばたきをして、もう一度読み直す。その短い文章は、誤解する余地すらなかった。

告白なんてものは、学生時代のものか、もしくは結婚を前提にお付き合いを云々という時と場合を限定したものだと思っていた。大人の男女というものは得てして『なんとなく付き合い、なんとなく別れる』のが相場だと思っていた。

実際、私と裕子の間には、どちらかから『付き合ってください』的な口頭による契約交渉などなかった。なんとなく一緒にいることが多くなり、いつのまにか我が家に裕子が入り浸るようになった。両者が暗黙の内にこのなし崩しを了承している感じだ。

だからこそ、快人から送られてきた『告白する』という言葉には面食らった。

だが、それはそれで快人らしくて良いかなとも思える。おそらく――というかほぼ間違いなく、恋愛経験値がスライムベスくらいしかない快人にしてみたら、告白という明確な目標があった方が行動しやすいだろう。

私はニヤつく口元を左手で抑えて快人の方を見やった。

快人もこちらを見てニヤリと笑い、私のモニタを指差して小さくバツ印を描いた。

私は二三度頷いてから、すぐにチャットのログを消去した。

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長崎 正吾

  • 名前:長崎 正吾
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  • 1978年生まれ。34歳の夏、職を失う。20代の頃にスロットで生活していたことを思い出し、フラリとホールへ舞い戻る。そのままスロット生活者へ。基本的にはジャグラーシリーズのみを打つスタイル。スロットで糊口を凌ぐ傍ら、iPhone/Android向けアプリ「ジャグラーで喰う技術1&2」をリリース。

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