六本木ヒルズからの七転八倒

【入札編80】「結婚……する?」

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「俺らが出会った頃って……どんな感じだったっけ?」

食卓に並べられた料理に舌鼓を打ちつつ、何の気なしに尋ねた。
裕子は箸を咥えたまま、いぶかしげに眉を曲げた。

「なんで今さら馴れ初めなんか聞くの?しかも自分の」

「いや別に……なんとなく」

私がはぐらかすと、裕子は肉じゃがのジャガイモに箸を突き刺した。裕子は箸の持ち方はとても綺麗なのに、なぜか使い方が荒々しい。突き刺したジャガイモを一口で頬張り、ジッとこちらを見つめている。まるで私の質問の真意を探っているようだ。

「サラリーマン御用達のタバコの煙がモクモクしてる居酒屋で合コンしたのが最初でしょ。んで、次がパチスロデート」

ジャガイモが口に残った状態で、裕子はそう答えた。もちろん私だってハッキリと記憶していることだ。

「今、思い返してみたらロクな出会いじゃないね」

裕子はコップの水を喉に流し込んだ。私は「確かに」と同意し、小さく笑った。

テレビにはダウンタウンが大物ミュージシャンの頭を容赦なく叩くところが映しだされていた。それを見て裕子は口元を抑えて笑った。

ふと視線を落とすと、床にパチスロ雑誌が転がっていた。そういえば最近は裕子とスロットに行くことも少なくなってしまった。裕子は今の生活をどう思っているのだろうか。以前のようなスロプー生活の方が楽しかったのではないだろうか。

そんなことが頭をよぎりつつ視線を食卓へと戻すと、裕子がコップを口につけたままこちらを見つめていた。

何か言いたげなその表情に、私は眉を上げて「何?」と尋ねた。

すると、裕子はコップの端を軽く噛んでから、ゆっくりと口を開いた。

「結婚……する?」

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長崎 正吾

  • 名前:長崎 正吾
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  • 1978年生まれ。34歳の夏、職を失う。20代の頃にスロットで生活していたことを思い出し、フラリとホールへ舞い戻る。そのままスロット生活者へ。基本的にはジャグラーシリーズのみを打つスタイル。スロットで糊口を凌ぐ傍ら、iPhone/Android向けアプリ「ジャグラーで喰う技術1&2」をリリース。

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