六本木ヒルズからの七転八倒

【入札編89】馬鹿ではない証明

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「おはようございまーす」

二日後。始業時刻ギリギリに仕事場のドアを開けると、本田が受話器を右肩に挟みながらキーボードを叩く姿が目に飛び込んできた。

本田はこちらに視線を向けると、口の前に人差し指を立てた。
私は肩をすくめて静かに中へと入った。

先に来ているのは美瑠希と山倉ほか二名。だが、今日も出勤するはずの快人の姿がまだなかった。

美瑠希に軽く会釈をしてからバッグをデスクの傍らに置き、その中からカフェオレと朝食のサンドイッチと取り出した。

「……うん、そうか、わかった」

本田の電話が終わるまでは、全ての動作を忍者さながらの静かさで行わなければならない。いつも穏やかで小言の少ない本田ではあるが、なぜか電話中の雑音には神経質なのだ。以前、本田の電話中に美瑠希がおもしろい出品物を発見して爆笑したら、本田に睨みつけられたことがあった。それ以来、電話中の本田には細心の注意を払うようにしている。

「確か……実家だったよね?だったら大丈夫か。明日以降のことはまた電話かメールでよろしくたのむよ。とりあえず今日はお大事に」

本田が静かに受話器を置いた。それを確認すると、一斉に缶ジュースやお菓子を開封する音が室内に響いた。私もカフェオレを開け、一口喉に流し込んだ。

「今日、快人は風邪でお休みです。なのでとりあえず『薬事法』のチェックとか、もろもろ快人がやってた仕事は……美瑠希、やってもらえるかな?」

受話器から漏れていた会話からある程度の想像はついていたが、やはり快人は休みらしい。

「……はい」

美瑠希は、今にも消え入りそうな声で本田の指示に答えた。

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長崎 正吾

  • 名前:長崎 正吾
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  • 1978年生まれ。34歳の夏、職を失う。20代の頃にスロットで生活していたことを思い出し、フラリとホールへ舞い戻る。そのままスロット生活者へ。基本的にはジャグラーシリーズのみを打つスタイル。スロットで糊口を凌ぐ傍ら、iPhone/Android向けアプリ「ジャグラーで喰う技術1&2」をリリース。

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