六本木ヒルズからの七転八倒

【入札編93】カフェオレ好きの誌上プロ

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私はミラノサンドAとカフェオレを注文し、美瑠希は同じくミラノサンドAとアイス抹茶ラテなる小洒落たドリンクを注文した。

たったこれだけの注文で約700円になるのだから、毎度のことながら驚かされる。巷にはびこるこの手のコーヒーショップは、実はブルジョワジーのたしなみなのではないだろうか。

トレイを手に二階に上がると、窓際で二人の女性客が席を立つところが見えた。私は美瑠希にあごでそちらを指し示した。

美瑠希と二人で並んで、交差点を見下ろす席に座った。ここは以前、美瑠希が誤スルー事件を引き起こした時にも座った席だ。

「込んでるね」

美瑠希はため息まじりに言った。

「そうだね、この店は儲かってそうでうらやましいよ」

私が答えると、美瑠希は頬を緩めた。

カフェオレを一口喉に流し込み、ミラノサンドにかぶりついた。美味い。
さっきは脳内で――たったこれだけで700円とかクソ高ぇ!――と悪態をついてしまったことを撤回したい。確かに値段相応に美味しい。

「いつもカフェオレ飲んでるね。仕事場でも飲んでるでしょ」

美瑠希が私のカフェオレのカップを指先で軽く弾いた。

「カフェオレ飲んでると良い事があるんだよ。ツキが良くなるっていうかさ」

私は、頭の中に誌上プロの『きのけん』のことを思い描きながら言った。私がカフェオレを頻繁に飲むようになったのは、『きのけん』の好物だと知ってからだ。

「カフェオレで運がねぇ……」

美瑠希はいぶかしげな表情を浮かべたままミラノサンドにかぶりついた。

仕事場にいたときはどこか話しにくい雰囲気だったが、今ならば自然に訊けそうな気がしてきた。

私は、美瑠希に快人のことを尋ねるタイミングを図りながら、口に広がる生ハムの香りを楽しんだ。

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長崎 正吾

  • 名前:長崎 正吾
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  • 1978年生まれ。34歳の夏、職を失う。20代の頃にスロットで生活していたことを思い出し、フラリとホールへ舞い戻る。そのままスロット生活者へ。基本的にはジャグラーシリーズのみを打つスタイル。スロットで糊口を凌ぐ傍ら、iPhone/Android向けアプリ「ジャグラーで喰う技術1&2」をリリース。

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