六本木ヒルズからの七転八倒

【入札編94】昼間の女子高生

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窓の外には片側二車線の幹線道路と、それを貫く横断歩道が見える。母親に手を引かれた小さな子供が、横断歩道の白線だけを踏んで渡ろうと必死にジャンプしている姿があった。

私はカフェオレで喉を潤してから、さも重要な話ではないような口調で美瑠希に尋ねた。

「そういえば今日、快人休んでたね」

視線は窓の外へ向けたままだったので様子は伺えないが、美瑠希はストローを口に咥えたまま小首を傾げたようだ。

「風邪らしいけど……めずらしいよね。快人が風邪で休むなんて。っていうか、俺が入社してから快人が休んだことって……例の誤削除騒ぎのときだけじゃないかな?それよりも前はどうだったの?」

私は僅かに顔を美瑠希の方へと向けた。美瑠希は口の先を尖らせて、また小さく首を傾げた。
私は「そっか」とだけ答えて、ミラノサンドにかぶりついた。

突然、背後が騒がしくなった。振り返ると、制服姿の女子高生が大挙して押し寄せていた。いつも思うのだが、平日の昼間になぜ高校生がこんな場所にいるのだろうか。仮にテスト期間中だから学校が早く終るのだというのなら、おとなしく家で勉強すべきではないか。私が学生だった頃は――そもそも学校と自宅の間にドトールのようなお洒落スポットが存在しなかった。

私が眉をひそめると、それを見た美瑠希は口角を上げた。だがすぐに、彼女の頬の筋肉は力を失ってしまった。

小さなため息と共に、美瑠希の肩が落ちた。ぼんやりと窓の外を見つめたまま、美瑠希はゆっくりと口を開いた。

「あたしのせいかもしれない」

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長崎 正吾

  • 名前:長崎 正吾
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  • 1978年生まれ。34歳の夏、職を失う。20代の頃にスロットで生活していたことを思い出し、フラリとホールへ舞い戻る。そのままスロット生活者へ。基本的にはジャグラーシリーズのみを打つスタイル。スロットで糊口を凌ぐ傍ら、iPhone/Android向けアプリ「ジャグラーで喰う技術1&2」をリリース。

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