六本木ヒルズからの七転八倒

【入札編95】『赤信号、みんなで渡れば怖くない』

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競馬の勝ち馬を予想することも、ホールの中から高設定台を予想することもとても難しいことではあるが、美瑠希の口から発せられた言葉の意味を予想することはさほど難しくはなかった。

だが、私はあくまでも何も知らない風を装って、美瑠希に尋ねた。

「何が?なんかあったの?」

美瑠希はテーブルに肘をつき、手のひらで額を撫でた。言うべきか、言わざるべきかを悩んでいるのだろう。私は急かすことなく、美瑠希の口から次の言葉が吐き出されるのをじっと待った。

窓の外で、車のクラクションがけたたましく鳴り響いた。驚いて目を向けると、妙齢の女性が横断歩道を小走りで駆け抜けていた。横断歩道の信号はすでに赤だった。

その昔、『赤信号、みんなで渡れば怖くない』というネタを作った有名なコメディアンがいたが、その人もまたバイク事故で生死をさまよったことを思い出した。

「おばちゃん、危なかったね」

ふいに美瑠希が口を開いた。

「ホントだよ。ああいうおばちゃんは、人がいれば車は止まってくれると思ってるんだよ。それが走馬灯の最後の映像になるとも知らず……」

私が答えると、美瑠希は屈託なく笑った。彼女はそのまま両手を頭上に突き上げて伸びをした。すると、当然のように服が体に張り付き、体のラインがあらわになった。

私は、美瑠希の胸元に釘付けになりそうになる自分の視線を慌てて窓の外へと引き剥がした。

美瑠希は脱力した両手をダラリと下ろし、大きくため息をついた。

「あーあ、快人に告白されちゃったよ……」

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長崎 正吾

  • 名前:長崎 正吾
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  • 1978年生まれ。34歳の夏、職を失う。20代の頃にスロットで生活していたことを思い出し、フラリとホールへ舞い戻る。そのままスロット生活者へ。基本的にはジャグラーシリーズのみを打つスタイル。スロットで糊口を凌ぐ傍ら、iPhone/Android向けアプリ「ジャグラーで喰う技術1&2」をリリース。

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