六本木ヒルズからの七転八倒

【入札編96】愛のコピ白

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告白された、という告白をされた。

予想はしていたものの、いざ本人の口から聞くとなかなかのパンチ力があった。
私は僅かに震えた心を沈めようと、何食わぬ顔でカフェオレを一口喉に流し込んだ。

冷たい液体が食道を通過するのを感じながら、私は横目で美瑠希の顔を見やった。

「何て言われたの?」

私が眉を上げて尋ねると、美瑠希は口をアヒルのように尖らせて、何度か首を前後させた。

「なんか……『もし今付き合ってる人がいないんなら、付き合って欲しい』みたいなこと……」

美瑠希はトレイに視線を落としたまま、小さな声で呟いた。
私は「ふーん」と短く答えた。

快人らしい……かどうかは分からないが、基本的に引っ込み思案で奥手な彼にしては良く頑張った方ではないだろうか。どこかの恋愛指南サイトからコピペしたかのようなありきたりな文言ではあるが、まるで中高生のような初々しさを感じさせるではないか。これはこれで彼の人柄が表れていて良いではないか。

私は、快人が美瑠希の眼前でそのセリフを読み上げているシーンを想像して、思わず口元が緩んでしまった。

私が快人に対して特別な何かをしてあげたわけではないが、なんとも言えない達成感を覚えた。

だが、喜んでいられるのもここまでだった。

告白された側――美瑠希の回答はどのようなものだったのか。
窓の外をぼんやりと眺める彼女の横顔を見ていると、その答えを尋ねるのが怖くなった。

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長崎 正吾

  • 名前:長崎 正吾
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  • 1978年生まれ。34歳の夏、職を失う。20代の頃にスロットで生活していたことを思い出し、フラリとホールへ舞い戻る。そのままスロット生活者へ。基本的にはジャグラーシリーズのみを打つスタイル。スロットで糊口を凌ぐ傍ら、iPhone/Android向けアプリ「ジャグラーで喰う技術1&2」をリリース。

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