六本木ヒルズからの七転八倒

【入札編97】設定1に座る未来

←BACKパソコン版【入札編96】愛のコピ白
←BACKスマホ版【入札編96】愛のコピ白

「あんまり驚かないんだね。知ってたの?」

不意に美瑠希がこちらに顔を向けた。真っ白い頬がほんのりと上気して桜色に染まっている。よく見ると耳も赤くなっていた。

「いや、知らなかったけど。そうなんだ、あの快人がねぇ……」

私は咄嗟に嘘をついた。

「ホント、ビックリだよ……」

美瑠希は絞りだすように言うと、ストローが入っていた紙製の袋を器用に結び始めた。

ここから先、私が言うべきことはただひとつ――『で、付き合うの?』――だけだ。だが、それをなかなか尋ねることができない。設定1の札が挿された店長オススメ台に座るのと同じくらい、ネガティブな未来しか見えないからだ。

そんな私の空気を察したのか、美瑠希が静かに口を開いた。

「どうすればいいと思う?」

逆に尋ねられた。一体、何と答えろというのか。どこかの芸能事務所の社長ばりに『Youたち、付き合っちゃいなYo!!』とでも気軽に言えればいいだが。

「それ言われて、何て答えた?何も言わずに逃げてきたの?」

私が冗談っぽく言うと、美瑠希は少しだけ頬を上げた。

「急に言われても困る……って。で、快人のこと、そんな風には見てなかったからって言って、別れた。そしたら今日、休んじゃった」

美瑠希はテーブルの下で足をブラブラと揺らしながら言った。

→NEXTパソコン版【入札編98】うらやましいのは、どっち?
→NEXTスマホ版【入札編98】うらやましいのは、どっち?

profile

長崎 正吾

  • 名前:長崎 正吾
  • 性別:
  • 誕生日:
  • 血液型:
  • 出身地:
  • 好きなもの:
  • 嫌いなもの:
  • 1978年生まれ。34歳の夏、職を失う。20代の頃にスロットで生活していたことを思い出し、フラリとホールへ舞い戻る。そのままスロット生活者へ。基本的にはジャグラーシリーズのみを打つスタイル。スロットで糊口を凌ぐ傍ら、iPhone/Android向けアプリ「ジャグラーで喰う技術1&2」をリリース。

calender

5月≫
1234567
891011121314
15161718192021
22232425262728
293031  

戻る