六本木ヒルズからの七転八倒

【入札編99】恋の暗証番号1234

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翌朝。会社のあるビルの一階でエレベーターを待っていると、背後からポンと優しく肩を叩かれた。

「おはよ」

声の主は美瑠希だった。今朝も白い肌が朝日のように眩しかった。

「おはよう、早いね」

二人でエスカレーターに乗り込む瞬間、美瑠希の髪から漂うシャンプーの香りが私の鼻孔をくすぐった。ヘタな香水よりも、シャンプーの香りの方がはるかに男心をくすぐるものだ。

すると、美瑠希が不思議そうな顔でこちらを覗き込んできたので、私は何事もなかったかのように天気の話でお茶を濁した。

五階に着き、暗証番号を「1・2・3・4」と順に押して職場のドアを開くと、本田が一人黙々とパソコンに向かう姿があった。

「おはようございます。本田さん、早いですね」

「おう、おはよう。今日も朝から本社で会議だよ。まったく、嫌になるよ」

本田はため息混じりに吐き捨てた。
私は窓際の席に荷物を置き、パソコンの電源を入れた。隣の席――いつも快人が座っている席には、まだ誰の姿も無かった。

それからすぐ、山倉とほか数名がぞろぞろと入室してきた。いつもの光景が広がる。だが、まだ快人の姿が見えない。

私は本田の席へと歩み寄り、耳元でささやいた。

「快人って、今日も休みなんですか?」

そう尋ねると、本田は肩をすくめた。

「さぁ?まだ電話も無いけど……。おそらく今日も休みなんじゃない?」

現場の責任者としてはやや無責任な口ぶりではあるが、概ね私も同意見だった。

「じゃあ、僕はこれから本社に行っちゃうから……美瑠希!」

本田の張りのある声が室内にこだました。

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長崎 正吾

  • 名前:長崎 正吾
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  • 1978年生まれ。34歳の夏、職を失う。20代の頃にスロットで生活していたことを思い出し、フラリとホールへ舞い戻る。そのままスロット生活者へ。基本的にはジャグラーシリーズのみを打つスタイル。スロットで糊口を凌ぐ傍ら、iPhone/Android向けアプリ「ジャグラーで喰う技術1&2」をリリース。

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