六本木ヒルズからの七転八倒

【初打編04】「4000枚……?」

朝8時、『デルタ』に到着した私は驚くべき光景を目の当たりにした。すでに多くの人が店の前に並んでいたのだ。80人くらいだろうか。まだ8時だというのに、どこから湧いてきたんだ、この人達は。てっきり一番乗りだと思い込んでいた私は、かなり面食らってしまった。

堀口との約束の時間までは1時間近くある。だからといって、一人でこの列の中に飛び込む度胸など無い。仕方なく、並びの列が見下ろせる場所にあるマクドナルドで時間を潰すことにした。

二階の窓際の席で『デルタ』を見下ろしながら、ソーセージエッグマフィンをカフェオレで流し込む。その時、何気なく周りの客の会話に耳をそばだてると、スロットの話と思われる内容が漏れ聞こえてきた。

「昨日新宿の『ピーブルース』で3万突っ込んで死んだ~とか言っとったら、そっから4000枚噴いたわ!気持ちよかった~!」

「マジかよ!俺も土曜に行ったけど、ボロ負けしたぜ?何なんだよ!」

おそらく彼らも『デルタ』に行く前の腹ごしらえなのだろう。

その会話は決して品の良いものではなかったが、「3万」「4000枚」という単語は私の脳裏に強烈なインパクトを残した。4000枚のコインとは一体どれくらいの量なのだろう。パチンコの玉ならなんとなくイメージできるが、スロットのコインは全くイメージが湧かない。そもそも、よく3万円も使えるものだ。

彼らの会話は、私が持つスロットへの期待と不安を増大させるには十分な力があった。

待ち合わせ時刻があと5分に迫った時、『デルタ』の列の最後尾に堀口の姿を見つけた。私は、僅かに残っていたカフェオレを飲み干し、すぐさま堀口の元へと急いだ。

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長崎 正吾

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  • 1978年生まれ。34歳の夏、職を失う。20代の頃にスロットで生活していたことを思い出し、フラリとホールへ舞い戻る。そのままスロット生活者へ。基本的にはジャグラーシリーズのみを打つスタイル。スロットで糊口を凌ぐ傍ら、iPhone/Android向けアプリ「ジャグラーで喰う技術1&2」をリリース。

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