六本木ヒルズからの七転八倒

【初打編07】やってやろうじゃねーの!

「いやー良かったっスね!並んで座れて!」

「お、おう!」

人ごみをかき分けてたどり着いた先に、その台あった。左角の台に私が座り、その右隣に堀口が座った。100パーセント勝てる云々の話を聞いたときはテンションがガタ落ちしたが、入店時の喧騒にほだされてしまったのか、私はすっかり興奮状態にあった。

「ヨッシャ、これがクランコか!やってやろうじゃねーの!」

普段はかなりの慎重派で、子どもの頃から「落ち着きのある子」と通知表に書かれていたほどの私がこの口調だ。初めてのスロット屋の雰囲気にすっかりテンションが上がってしまった私は、意味も無くキョロキョロと周りを見回した。

お目当ての台を探し出すため、さながらウナギのようにスルスルと狭い通路をすれ違う男達。携帯電話を下皿に放り込むのは暗黙のルールなのだろうか。ふと後を見ると、何やら台の上に設置されている機械を操作している男がいた。私の台の上にも同じ物が設置されている。そこには『呼び出し』『サービス』『データ』などの文字が書かれたボタンと液晶画面があった。

「これって何なの?」

その機械を指差しながら、堀口に尋ねた。

「データロボっス!ビッグの回数とかが分かるんスよ!ここ押すと3日分のデータも見れるんスよ!」

堀口は『データ』と書かれたボタンをポンっと叩きながら説明してくれた。ということは、背後の男は前日までのデータを元に台を選んでいたのだろうか。それがどの程度重要なのかは分からないが、少なくとも堀口は前日までのデータを確認するそぶりすら見せなかった。堀口に促されるままこの台に座ってよかったのだろうかと、一抹の不安がよぎる。

その時、入店時から流れているT-SQUAREの「TRUTH」に混じって、店内のいたるところから乾いた金属音が聞こえてきた。

NEXT【初打編08】スロット人生、スタート

profile

長崎 正吾

  • 名前:長崎 正吾
  • 性別:
  • 誕生日:
  • 血液型:
  • 出身地:
  • 好きなもの:
  • 嫌いなもの:
  • 1978年生まれ。34歳の夏、職を失う。20代の頃にスロットで生活していたことを思い出し、フラリとホールへ舞い戻る。そのままスロット生活者へ。基本的にはジャグラーシリーズのみを打つスタイル。スロットで糊口を凌ぐ傍ら、iPhone/Android向けアプリ「ジャグラーで喰う技術1&2」をリリース。

calender

11月≫
 12345
6789101112
13141516171819
20212223242526
27282930  

戻る