六本木ヒルズからの七転八倒

【初打編11】「入ったら揃うんスよ!」

「ハイッタ?」

「入ったッス!」

堀口は、さっきまで3枚づつ入れていたコインを今度は1枚だけ投入してレバーを叩いた。そして左リールから順にストップボタンを押し、あっさりと青7を一直線に揃えてみせたのだ。 

これまでとは一転して派手なファンファーレが鳴り響く。驚く私を見て、堀口はゆっくりと2回頷いた。

「長崎さんも頑張ってくださいっ!」

今日一番の笑顔と共に、堀口は私の肩をポンっと叩いた。……頑張りたいのはヤマヤマだが、努力の仕方がよく分からないのだよ。うるさいくらいの音楽とともに下皿にジャラジャラと吐き出されるコインを見ていると、ふと一つ疑問が生まれた。

「ねぇ、俺もピッタリ完璧なタイミングで7を押せば揃うの?」

「揃わないっス!」

間髪を入れずに否定されてしまった。

「じゃあどうすれば揃うの?」

「入ったら揃うんスよ!」

「入ったらってどういうことよ?」

「それはっスねぇ……入ったら教えまスから!」

このやり取りからも分かる通り、堀口は性格が適当なだけではなく、そもそも説明下手なのだ。職場に新しいバイトが入ってきたときも、仕事の説明が適当過ぎて新人が困っているところをよく見かけた。

だが、今さら堀口の性格を嘆いても仕方がない。7が揃う状態になったら教えてくれるらしいから、その時のためにも目押しの練習でもすることにしよう。またそれとは別に、もう一つ確認しておきたいことがあった。

「それで何枚くらいあるの?」

大当たりを消化し終えた堀口の台を指差して聞いた。

「だいたい400枚ってとこッスね!」

400枚。ということは、大当たり一回で8000円分のコインが得られるということか。想像以上に大きな数字だ。これならば堀口が言う「月に20万は稼げる」というのもあながち嘘ではないのだろう。

よし、それならば私も当ててやろうじゃないか!私は思いを新たにし、三枚目の千円札をコインに変えた。

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長崎 正吾

  • 名前:長崎 正吾
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  • 1978年生まれ。34歳の夏、職を失う。20代の頃にスロットで生活していたことを思い出し、フラリとホールへ舞い戻る。そのままスロット生活者へ。基本的にはジャグラーシリーズのみを打つスタイル。スロットで糊口を凌ぐ傍ら、iPhone/Android向けアプリ「ジャグラーで喰う技術1&2」をリリース。

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