六本木ヒルズからの七転八倒

【失踪編13】前歯が欠けたパンチパーマ

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「なんかな、小太りのパンチパーマでな、前歯が欠けとって気持ち悪かった言うとったわ」

ゲンさんはビーバーのような顔をして、右手の小指の先で、コンコンと前歯を叩いた。ゲンさんから聞いた風貌を頭の中でイメージした私は、何か心にひっかかる『違和感』のようなものを感じた。脳内のデータベースに似たような人物が居たような気がするのだが、ハッキリとは思い出せない。そんなもどかしい違和感だった。

「まぁ今日日、パンチパーマやからって『コレもん』やって思う堀口ちゃんもカワイイけどな」

そう言ってゲンさんは、自分の右の頬を人差し指で縦になぞった。

「は~……でも、実際のところ、どうなんですかね?」

「何が?」

「だから、その男。やっぱり……足して20なんですかね?」

私は、あの化粧っ気の無い朴訥なイメージの千夏さんが、そんな連中と付き合いがあるということがどうしても信じられなかった。

「どうやろなぁ。まぁ本物になりきれん、半端モンがやりそうなことやなって感じもするわな」

ゲンさんはサイドテーブルに置いていたタバコの箱から一本を手に取り、麻雀卓の端にフィルターをトントンと二度叩いてから口に加えた。使い古された銀色のジッポーライターのホイールがジャリっと音を立てると、オイルの独特の匂いが鼻まで届いた。

ゲンさんはタバコの煙を大きく吸い込んでから、口を丸く尖らせた。そして、右の頬をトントンと叩いて煙の輪っかを作ろうとしたが、何度やっても綺麗な輪にはならなかった。その不出来な煙の輪を見て私がフフッと笑うと、ゲンさんはチラリとこちらを見た。

「だって、オカシイと思えへん?」

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長崎 正吾

  • 名前:長崎 正吾
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  • 1978年生まれ。34歳の夏、職を失う。20代の頃にスロットで生活していたことを思い出し、フラリとホールへ舞い戻る。そのままスロット生活者へ。基本的にはジャグラーシリーズのみを打つスタイル。スロットで糊口を凌ぐ傍ら、iPhone/Android向けアプリ「ジャグラーで喰う技術1&2」をリリース。

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