六本木ヒルズからの七転八倒

【失踪編16】空飛ぶゾウ 担保

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「50万……」

この『ライズ』の給料を考えれば、天文学的ともいえる金額だった。実際、私は銀行口座の残高が50万を超えたことなど人生で一度もなかった。

「その金額って……」

「部屋追い出された後に女に言われたんやて、電話でな。だいたいそれくらいちゃうか?言うてな」

私はぽかんと口を開けたまま固まってしまった。なんだか自分とは違う世界での話のようで、現実感が無かった。だが、堀口の顔の怪我と、堀口がゲンさんに金の無心をしたという2点だけは紛れもない事実だ。

「な!オカシイと思えへん?ようできた話やで」

確かにゲンさんの言うとおり、出来すぎた話のようにも思える。

「で、ゲンさん。貸すんですか?50万」

「まぁな~、根拠と担保があれば貸さんこともないんやが……」

ゲンさんはミゾオチのあたりで両手を組んで、両目を強く瞑ってしばし考え込んだ。5秒ほどの沈黙が流れた後、目を開けたゲンさんは、

「俺も金無いからな!利息ガッポリ貰わんと合わんで!」

そう言って左の頬を上げ、ニヤリと笑った。冗談とも本気ともつかないその言葉に、私は相槌を打つことしかできなかった。

「ま、そういう話やから俺にコッソリ相談してきたんやろな。俺ならなんとかしてくれるかも、ってな」

私は軽く二度頷いた。確かにそのとおりだ。この『ライズ』の中で今回の件を相談するならば、間違いなくゲンさんが適任だ。年長者でもあるし『足して20』の過去もある。正直、私に相談されても何の力にもなってやれない。『足して20』の人たちとの渡り合い方も知らないし、50万なんて金も用意してやれない。

「まぁな、堀口ちゃんの自業自得っちゅーところもあるで、実際」

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長崎 正吾

  • 名前:長崎 正吾
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  • 1978年生まれ。34歳の夏、職を失う。20代の頃にスロットで生活していたことを思い出し、フラリとホールへ舞い戻る。そのままスロット生活者へ。基本的にはジャグラーシリーズのみを打つスタイル。スロットで糊口を凌ぐ傍ら、iPhone/Android向けアプリ「ジャグラーで喰う技術1&2」をリリース。

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