六本木ヒルズからの七転八倒

【失踪編17】かこむん蛇

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「だってな、考えてみぃ。いくら若いから言うて、4人も5人も女抱えとったら、そらいつか何か起こるって」

ゲンさんは麻雀卓の上に用意されている牌の中から二枚を握り、手の中でカチャカチャと音を立てた。

「女がおればな、イザっちゅー時に転がり込めばメシと雨風くらいはしのげるけどな」

カチャカチャという音がしばらく続いた後、ゲンさんは牌を表向きにして静かに卓の上に置いた。その牌は『三ピン』と『五萬』

「逆もまたしかりや。女はイザっちゅー時、怖いで~」

両腕で自分自身を抱きしめるような格好をして冗談めかして言ってはいるが、ゲンさんのその言葉には重みがあった。深く聞くことはしないが、おそらく自身の過去の体験からきているのだろう。

「まぁな、堀口ちゃんから何か話されるかもしれんけど、俺からこんなこと聞いたって言うたらアカンよ。堀口ちゃんにもプライドがあるやろうしな」

「はい、わかりました」

「まぁ、正吾ちゃんには言い辛いかもしれんな。歳も近いし」

そう言って立ち上がったゲンさんは、ズボンのベルトを締め直し、首の骨を豪快に鳴らした。

「長崎さ~ん!B卓終わったよ~」

バイの秋ちゃんがこちらに向かって元気に手を振っている。

「はいは~い、今行きますよ~。ご優勝は……おっと!秋山さん二連勝じゃないですか!調子いいですねぇ」

卓に表示されている点棒状況を確認すると、バイの秋ちゃんがまたしてもトップを取っていた。その口調とは裏腹に、秋山さんの麻雀は実に力強い。

「長崎さんがいない方が調子イイかも!」

「そりゃあ良かった。今後もそれでいきましょう。では次回ゲーム代を皆様よろしくお願いいたしま~す」

「何?今のどういう意味??」

「何の意味もありませんよ~。ゲーム代ありがとうございま~す。それでは皆様、優勝目指して頑張ってくださ~い」

「も~」

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長崎 正吾

  • 名前:長崎 正吾
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  • 1978年生まれ。34歳の夏、職を失う。20代の頃にスロットで生活していたことを思い出し、フラリとホールへ舞い戻る。そのままスロット生活者へ。基本的にはジャグラーシリーズのみを打つスタイル。スロットで糊口を凌ぐ傍ら、iPhone/Android向けアプリ「ジャグラーで喰う技術1&2」をリリース。

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