六本木ヒルズからの七転八倒

【失踪編18】オペラ座の怪人

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「堀口、おはよう」

「あ、おはようございまッス」

翌日、堀口は昨日と同様にマスクを付けて『ライズ』に出勤してきた。まだ本調子とは程遠いが、昨日よりは元気が出ているように見えた。

私は何から話していいのか決めあぐねていた。何食わぬ顔でスロットの話でもすべきか、顔の怪我のことに触れるべきか。だが、下手に怪我のことに触れてしまったら、ゲンさんから聞いた話をうっかりしゃべってしまいそうで怖かった。そんな、ぎこちない空気が私と堀口の間を支配していると、常連客が立て続けに二人入店してきた。

「じゃあ堀口くんと長崎くん、ツー入りで卓立てちゃおう。ゲンさんももうすぐ来るし」

店長の指示で常連客二人と私と掘口の四人で卓を立てることになった。

「わかりました~じゃあB卓で始めますんでお二人様どうぞ~」

そう言って客を誘導していると、堀口が私のそばにスッと歩み寄り、耳元でささやいた。

「長崎さん、あとでちょっと相談があるスけどいいッスか?」

遂にきたか。私は無言で眉毛を大きく上げ、了解した旨を伝えた。相談の内容は大方予想がつくが、それでもいささか緊張してしまう。

「堀口くん、その顔どうしたの!?大丈夫??」

客から顔の怪我を指摘された堀口は、苦笑いを浮かべて「大丈夫ッス」とだけ答えた。

「さ~張り切っていきましょう!皆様ゲーム代ありがとうございます!トップ目指して頑張ってください!」

私は、堀口への追求がそれ以上進まないように、わざと大きな声を張り上げてゲームをスタートさせた。

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長崎 正吾

  • 名前:長崎 正吾
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  • 1978年生まれ。34歳の夏、職を失う。20代の頃にスロットで生活していたことを思い出し、フラリとホールへ舞い戻る。そのままスロット生活者へ。基本的にはジャグラーシリーズのみを打つスタイル。スロットで糊口を凌ぐ傍ら、iPhone/Android向けアプリ「ジャグラーで喰う技術1&2」をリリース。

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