六本木ヒルズからの七転八倒

【失踪編20】ツイてるねノッてるね

←BACK【失踪編19】スティーヴン・セガール 暗黙の了解

「ロン!メンタンピンドライチで8000点です!悪いですね!」

社長の軽やかな声が響いた。社長は決して麻雀が上手いとは言えないが、本当に楽しそうに打つので、見ている方もなんだか楽しくなってしまう。

「長崎さん、ちょっと相談があるんスけど……いいッスか?」

堀口が極々小さな声で言った。

「いいよ、何?」

私は心の準備を整えて、堀口に促した。

「あの……ゲンさんから何か聞いたッスか?」

「ん?……いや、特には」

私は咄嗟に嘘をついた。だが、「特には」という言葉を付けて保険を掛けることも忘れなかった。

「そうッスか……」

そう言って堀口は口をつぐんでしまった。よほど言い難いのだろう。こちらから助け舟を出してやりたいところだが、この件に関しては堀口の思うに任せることにした。

「そういえば、こないだは凄かったッスね、1000枚くらい出てたッスよね?」

「そうだね、1123枚。初めてだったらキッチリ覚えてるよ。そっちはあの後どうだったの?」

「二人ともチョイ勝ちってとこッスね。夕方くらいには帰ったんスけどね……」

そこまで言うと、堀口はまた黙りこくってしまった。

「ツモ!チートイドラドラ!2000・4000です!いや~ツイてますな!」

今日は社長の調子が良さそうだ。こういう日の社長は手がつけられない。周りのお客さんが嫌気を差さなければよいが。

「あの……長崎さん」

「ん?」

「今……貯金ってどれくらいあるんスか?」

遂に本題が始まった。

→NEXT【失踪編21】薄給MEN

profile

長崎 正吾

  • 名前:長崎 正吾
  • 性別:
  • 誕生日:
  • 血液型:
  • 出身地:
  • 好きなもの:
  • 嫌いなもの:
  • 1978年生まれ。34歳の夏、職を失う。20代の頃にスロットで生活していたことを思い出し、フラリとホールへ舞い戻る。そのままスロット生活者へ。基本的にはジャグラーシリーズのみを打つスタイル。スロットで糊口を凌ぐ傍ら、iPhone/Android向けアプリ「ジャグラーで喰う技術1&2」をリリース。

calender

3月≫
 12345
6789101112
13141516171819
20212223242526
2728293031  

戻る