六本木ヒルズからの七転八倒

【失踪編24】森田一義アワー

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翌日、『ライズ』でのバイトが休みだった私は、昼まで惰眠を貪った。万年床からもそもそと起きだしてテレビのスイッチを入れると、いつもと変わらぬ笑顔でタモリさんがウキウキウォッチングを歌い踊っていた。何歳になっても軽快なダンスだ。

結局あの後、堀口と込み入った話はできなかった。堀口も話したくなさそうだったし、そもそも仕事が忙しくてそれどころではなくなってしまったのだ。昨日もなかなかの売上になったことだろう。

テレフォンショッキングのゲストが「森雪之丞」という神秘的な名前だったので、どんな可愛いアイドルかと期待して見ていたら、短髪のおじさんが登場して肩透かしを喰らった。おじさん二人の会話をBGM代わりにして、先日購入したパチスロ雑誌を手にとった。

――ボーナスと小役は同時には成立しない。チェリーなどの小役が揃ったゲームではボーナスの可能性はゼロ……か

布団に寝転んだまま、二時間ほど読みふけってしまった。気がつけば「ごきげんよう」すら終わっている時間だ。休みの日はいつもこうだ。何をするわけでもなく、ただ時間を浪費してしまう。

以前までなら多少はギターの練習をしていたのだが、今ではすっかりそんな気も起きなくなった。部屋の隅に置かれた二本のギターはすっかりホコリをかぶってしまい、インテリアとしても用をなさなくなってしまっている。

若者がこんな怠惰な一日を過ごしてはいけない!などと自分を奮いたたせるでもなく、温かい布団に潜り込み、目を閉じた。

何時間くらい経ったのだろうか。さっきまでは太陽が降り注いでいたはずの窓から、夜の闇が差し込んでいる。無機質に鳴り響く携帯電話の音で、心地良い夢の世界から現実へと引き戻された。

「……もしもし」

「あ、長崎くん?」

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長崎 正吾

  • 名前:長崎 正吾
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  • 1978年生まれ。34歳の夏、職を失う。20代の頃にスロットで生活していたことを思い出し、フラリとホールへ舞い戻る。そのままスロット生活者へ。基本的にはジャグラーシリーズのみを打つスタイル。スロットで糊口を凌ぐ傍ら、iPhone/Android向けアプリ「ジャグラーで喰う技術1&2」をリリース。

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