六本木ヒルズからの七転八倒

【失踪編28】ら・・・拉致?

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「店長、昨日の電話も何なんですか?堀口に何かあったんですか?」

『堀口』の名前を聞いた店長の眉がピクリと動いた。ゲンさんは胸ポケットからタバコを取り出し、ジッポーライターで火を付けた。オイルの香りが鼻をかすめた時、店長は組んでいた両腕をカウンターにつき、ようやくその重い口を開いた。

「昨日ね、15時過ぎくらいだったかな。堀口くんが食事休憩に出て行ったんだよ、外にね」

隣でゲンさんが二度頷く。

「それからね……戻ってきてないんだよ、彼」

「はぁ!?」

私は思わず大きな声を上げてしまった。

「……電話とかしたんですか?」

「もちろんしたけど、電源が入ってないみたいでね、ずっと」

店長はカウンターへと目を落とした。

「メールは?」

「返信無しや」

ゲンさんが力なく答える。

突然のことに呆然とする私の脳裏に、最悪の状況がよぎった。

「ゲンさん、ヤバくないですか!?ホラ、堀口こないだ言ってたんでしょう?『足して20』の奴らに……」

そこまで口にすると、私はハッと言葉を飲んだ。内密にする約束だったこの話を、うかつにも店長のいる前でしてしまった。だが、店長はこの話に驚く様子も見せずに黙って耳を貸しているだけだった。

「大丈夫や、言うても。もうその話は店長にした、昨日な」

ゲンさんは床に向かってタバコの煙を吐き出し、それを足で蹴散らす素振りを見せた。

「だったらなおさら……拉致されたりしてるんじゃ……」

そう言うと、ゲンさんが軽く鼻で笑った。

「可能性はゼロじゃ無いやろうけどな。東1局で天和上がるくらい確率低いやろな」

「……なんでですか?」

「おそらく自分の意思や」

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長崎 正吾

  • 名前:長崎 正吾
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  • 1978年生まれ。34歳の夏、職を失う。20代の頃にスロットで生活していたことを思い出し、フラリとホールへ舞い戻る。そのままスロット生活者へ。基本的にはジャグラーシリーズのみを打つスタイル。スロットで糊口を凌ぐ傍ら、iPhone/Android向けアプリ「ジャグラーで喰う技術1&2」をリリース。

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