六本木ヒルズからの七転八倒

【失踪編3】胸騒ぎ

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「堀口!ちょい待ち!」

私は慌てて看板のプラグをビル清掃用のコンセントに差し込んで堀口の後を追った。だが、堀口は私を待つことなくエレベーターの扉を閉めてしまった。

――何だ、あいつ

私は突然のことに面食らってしまった。それと同時に、堀口からただならぬ雰囲気を感じた。

普段の堀口ならば、多少遅刻していたとしても、この場で私と軽く談笑してから一緒にエレベーターに乗り込んだはずだ。堀口はそういう性格の男だし、それを許すのが『ライズ』の風土というものだ。それに『スロットデルタ』で「プチマーメイド」と一緒に戯れたのは昨日のことじゃないか。帰り際には握手までして別れたというのに、その翌朝にこの態度とはどういう了見か。

堀口は確かに適当な性格ではあるが、今までこんなにぶっきらぼうな態度を取られたことは一度もなかった。

――俺、堀口に何かしたっけ?

堀口が消えていったエレベーターの方を向いて、私はしばし考え込んだ。だが、心当たりがまったく無い。それもそのはず。昨日、握手をして別れてからは電話もメールもしていないのだから、心当たりなどあるはずもない。

だが、今目の前で起こった堀口の行動だけは事実だ。

私は胸のざわめきを落ち着けるために大きく深呼吸をしてからエレベーターに乗り込み、「4F」のボタンを押した。

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長崎 正吾

  • 名前:長崎 正吾
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  • 1978年生まれ。34歳の夏、職を失う。20代の頃にスロットで生活していたことを思い出し、フラリとホールへ舞い戻る。そのままスロット生活者へ。基本的にはジャグラーシリーズのみを打つスタイル。スロットで糊口を凌ぐ傍ら、iPhone/Android向けアプリ「ジャグラーで喰う技術1&2」をリリース。

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