六本木ヒルズからの七転八倒

【失踪編31】終わりの、終わり。

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「お友達連れて来ちゃったわよー!何?辛気臭い顔三つも並べちゃって?」
 
そこには、困り顔のイケメンと腕を組んだバイの秋ちゃんの姿があった。
 
「いらっしゃいませ秋山様!お連れ様もいらっしゃいませ!さぁ、ゲンさん、長崎くん!すぐに卓を立てますよ!」
 
いつも冷静で穏やかな店長が、珍しく大きな声をあげた。まるで自らを奮い立たせているかのうようだ。
 
「あら!長崎さんとゲンさんがお相手してくれるの?ウレシー!もう張り切っちゃう!」
 
「いらっしゃいませ秋山さん!本日はコテンパンにして差し上げますよ~!さっそくですが、B卓へどうぞ!」
 
私も、心を覆った濃い霧を振り払うように、いつも以上に大きな声を出した。

「今日の正吾ちゃんは強いでー!秋ちゃん、覚悟しとかな!」
 
ゲンさんも力強く続いた。
 
「ちょっと店長〜!お客様に向かってコテンパンとか覚悟しろとか言ってるんですけど〜!」
 
「当店の従業員はお客様をコテンパンにすることが主な業務となっております。それでは初回ゲーム代を皆様よろしくお願いいたしま〜す!」
 
「も〜店長まで〜!」
 
バイの秋ちゃんは、ニコニコと笑いながらバッグから財布を取り出した。
 
「皆様、初回ゲーム代ありがとうございます!それではトップ目指して頑張ってください!」

店長の声で本日最初のゲームが始まり、いつもの和気藹々とした『ライズ』の雰囲気が戻った。少なくとも、表面上は。
 

次の日、堀口が出勤してくることはなかった。

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  • 「最近堀口くん見ないね?」「堀口は暫くお休みなんですよ~」……お客さんにも虚しい嘘をついた「最近堀口くん見ないね?」「堀口は暫くお休みなんですよ~」……お客さんにも虚しい嘘をついた

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長崎 正吾

  • 名前:長崎 正吾
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  • 1978年生まれ。34歳の夏、職を失う。20代の頃にスロットで生活していたことを思い出し、フラリとホールへ舞い戻る。そのままスロット生活者へ。基本的にはジャグラーシリーズのみを打つスタイル。スロットで糊口を凌ぐ傍ら、iPhone/Android向けアプリ「ジャグラーで喰う技術1&2」をリリース。

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