六本木ヒルズからの七転八倒

【失踪編6】ロン!国士無双!

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「C卓、優勝は大田原さんです、おめでとうございます!」

「はい、おめでとうございま~す。じゃあ長崎クン、そちらに新規のお客様をご案内して」

「了解です。ご新規様、こちらへどうぞ~」

「で、次はB卓がワン欠けになるからそっちで本走よろしく」

「了解で~す」

「堀口クン、A卓とD卓の洗牌と、倉庫からカップ麺の補充よろしく」

「……ウイ……ッス」

いつものようにテキパキを指示を出す店長とは対照的に、いつもとは比較にならないほど元気の無い堀口。その姿を横目で見ていると、あのケガの原因が気になってしまい、まったく麻雀に集中できない。

「長崎さん、それロン!国士無双!」

「ゲッ!マジですか……」

パタリと倒されたその手牌は、麻雀を知らないものならばバラバラに見えるのかもしれない。だが、麻雀打ちならば一瞬でそれと分かる、紛れも無い『国士無双』だった。

「この捨て牌だよぉ?ちゃんと見てなきゃダメだよぉ!」

『国士無双』の声を聞いて駆けつけてきたゲンさんが、卓上を指差して笑いながら言った。

「見てませんでした。スミマセン……」

「さぁ店長、ホラ!記念撮影!記念撮影!」

『国士無双』のような珍しい役――いわゆる『役満』――が出ると、『ライズ』のようにアットホームな店では、店全体がしばし喧騒に包まれる。店員はわらわらと集まり、他の卓で打っていた客もしばらく手を止め、騒ぎの中心になっている卓を覗きこむ。

ポラロイドカメラで撮影された写真は名前と共に店内の壁に貼りだされ、麻雀打ちにとってのひとつの「勲章」となる。

――何やってんだ、俺は……

普段ならやらないようなミスを犯して意気消沈した私は、フーっと大きくため息をついた。だが、いつまでも下を向いていられないと顔を上げると、視界の正面にひとり黙々と卓の清掃をする堀口の姿が見えた。

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長崎 正吾

  • 名前:長崎 正吾
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  • 1978年生まれ。34歳の夏、職を失う。20代の頃にスロットで生活していたことを思い出し、フラリとホールへ舞い戻る。そのままスロット生活者へ。基本的にはジャグラーシリーズのみを打つスタイル。スロットで糊口を凌ぐ傍ら、iPhone/Android向けアプリ「ジャグラーで喰う技術1&2」をリリース。

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