六本木ヒルズからの七転八倒

【失踪編8】ボク、惚れちゃいそう

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「B卓、優勝は長崎です。失礼しました~」

「はい、失礼しました~。じゃあ長崎クン、もう一回だけそのまま打ってくれるかな」

「了解で~す」

今回は運良くトップを取れたが、D卓で続く堀口とゲンさんの会話がの中身が気になって、麻雀の方は終始うわの空だった。

「さっき国士無双フリ込んだばかりなのに。長崎さん、ヤルわね。ボク、惚れちゃいそう」

「あ、惚れなくていいです」

「長崎さん、やっぱりひどーい」

またしても卓上が笑いに包まれた。このアットホームな雰囲気が好きだと言ってくれる常連客は多い。私自身、この雰囲気がとても好きだ。

「はいはい、私はひどいですよ~。皆様、次のゲーム代をよろしくお願いしますよ~」

「店長~長崎さんがひどいんですよ~」

「はいはい、私はひどくないですよ~。ゲーム代ありがとうございま~す。皆様、トップ目指して頑張ってくださ~い」

「も~」

『ライズ』に来る客は店員と同様に変わった人間が多い。だが、変わってはいるものの「嫌な人間」はほとんどいなかった。それも店員と同様だ。
そんな会話を和気藹々と交わしながら次のゲームが始まった。

最初の親を決めるサイコロが振られた時、バイの秋ちゃんの肩越しで堀口がおもむろに席を立ち上がり、カウンターにいる店長の元へと歩み寄っていった。ゲンさんは座ったまま私の方を見て、またしても例の手のひらを上に向けるポーズを取った。

堀口と店長はカウンター越しに何やら話し込んでいたが、その声は小さすぎて私の耳までは届かなかった。しばらくすると、堀口は店長に軽く会釈をしてロッカーの方へと消えてしまった。

「アレ?またボクの方見てるでしょ?いいのよ、素直になっても」

「あ、それはないです。でもそれはロンです。タンピンドラ1で3900点です」

「もー!!」

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長崎 正吾

  • 名前:長崎 正吾
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  • 1978年生まれ。34歳の夏、職を失う。20代の頃にスロットで生活していたことを思い出し、フラリとホールへ舞い戻る。そのままスロット生活者へ。基本的にはジャグラーシリーズのみを打つスタイル。スロットで糊口を凌ぐ傍ら、iPhone/Android向けアプリ「ジャグラーで喰う技術1&2」をリリース。

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