六本木ヒルズからの七転八倒

【失踪編9】通称「マル」

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ロッカーから出てきた堀口は、ロングコートを羽織り右手にはバッグを携えていた。その姿から、おそらく早退するのだろうということは容易に想像できた。

堀口はカウンターのところまできて、店長とゲンさんの方を向いて会釈をした。そして、B卓で対局中の私にも軽く会釈をした。私は眉毛を大きく上げて、それに応えた。私の眉毛の動きを確認すると、堀口はくるりと背を向け、ドアを開けて去っていってしまった。

「長崎さん、ツモ番よ!」

「あ、あぁ。スミマセン」

「もー。ボクの方ばっかり見ちゃって。ボクはいつでもOKよ!」

「あ、私はいつでもNGです」

「もー!バカッ!」

和やかな雰囲気で進んだゲームは、最終的にバイの秋ちゃんがラス親で12000点をアガってトップを取った。私はというと、特に見せ場もなく3着という結果となった。

「じゃあ長崎くん、そちらにお客様ご案内して」

「は~い。お客様、こちらの席へどうぞ~」

店長の指示で、先ほど入店した常連客をB卓へと誘導する。これで客同士の四人で打つ状況――通称「マル」――になった。雀荘としてはこの状況が理想だ。

「あ!長崎さん逃げるのね!ボクの相手しなさいよ!」

「昼の相手ならいつでもしますよ~、夜の相手は無理ですけど」

「もー!!店長ー!!」

使い終わったおしぼりとコップを持ってカウンターの方へと行くと、私の関心事を見透かしたように店長が言った。

「堀口クンなら病院に行くって言うから早退させたよ」

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長崎 正吾

  • 名前:長崎 正吾
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  • 1978年生まれ。34歳の夏、職を失う。20代の頃にスロットで生活していたことを思い出し、フラリとホールへ舞い戻る。そのままスロット生活者へ。基本的にはジャグラーシリーズのみを打つスタイル。スロットで糊口を凌ぐ傍ら、iPhone/Android向けアプリ「ジャグラーで喰う技術1&2」をリリース。

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