六本木ヒルズからの七転八倒

【師弟編04】細い指の男

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『ライムライト』の店内に戻ると、私が打っていた『ジャグラーガール』の左隣の台に見慣れない顔があった。その男が座っている台から機種が変わっており、そこはパイオニアの『ローズフラッシュ』のシマだった。

『ローズフラッシュ』はノーマルタイプの中でも比較的地味な印象で客付きもジャグラー以下といったところだ。特に今日は稼働がよくなかった。私がゆっくりと自席に近づくと、ちょうどその男がボーナスを引き当てたようだ。一枚掛けで鮮やかに7を揃えると、台上に置いていた小さなメモ帳に何やら書き込みはじめた。データを取りながら打つなんて几帳面な人だなと思いつつ、私は自席に身体を滑り込ませ、第二夫人『ジャグラーガール』にコインを投入した。

『ローズフラッシュ』は「簡単リプレイハズシ」がウリだった。ビッグボーナス中に「右・左・中」の順で停止させれば、誰でも簡単にリプレイハズシが行えるというものだ。技術介入全盛のこの時代に、誰でも技術介入が楽しめるという触れ込みだったが、それが逆に客のニーズに合っていないように思えた。

誰でもできるということは、目押し力の差が出玉の差として反映されないということだ。これでは目押しに自信のある打ち手が進んで打つことは無い。かといって、目押しに自信のない客――例えばジャグラーを打つ年配客など――は、よく分からない台をわざわざ打つことも無い。結局、『ローズフラッシュ』はマイナー台の地位に落ち着くことになってしまっている。私も新台で導入された際に何度か打ってみたが、残念ながら面白味を感じることも、かといって勝ちやすい機種だとも思えなかった。

隣の男も当然のように「右・左・中」の順に停止させ、ビッグボーナスを消化し終え、ドリンクホルダーからカフェオレを手に取った。その指は女性のように白く細かった。

それを見て私は、何かが脳裏をよぎった。

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長崎 正吾

  • 名前:長崎 正吾
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  • 1978年生まれ。34歳の夏、職を失う。20代の頃にスロットで生活していたことを思い出し、フラリとホールへ舞い戻る。そのままスロット生活者へ。基本的にはジャグラーシリーズのみを打つスタイル。スロットで糊口を凌ぐ傍ら、iPhone/Android向けアプリ「ジャグラーで喰う技術1&2」をリリース。

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