六本木ヒルズからの七転八倒

【師弟編05】誌上プロ『きのけん』

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私は背もたれに身体を預け、首を鳴らした。その横目で、左隣の男を見やった。男は肩まで届く長い髪を茶色に染め、白のTシャツに黒の革ジャンを纏っていた。髪で隠れて顔はよく見えないが、かなりの細身で、まるでパンクロッカーのような風貌だった。私は脳内のデータベースを隅々まで検索した。

――どこかで会ったことある?

だが、どうしても思い出せない。私はひとまず考えることをやめ、麗しのジャグラーガールにコインを投入し、レバーを叩いた。その時、隣の男がまた、右手でカフェオレを手に取った。その動作の最中も、左手は休むことなく『ローズフラッシュ』を消化し続けている。それを見て、私の脳内のデータベースから一人の男が検索結果として提示された。

――この人、もしかして『きのけん』?

その推測は、考えれば考えるほど確信に変わっていく。長い茶色の髪、細身に革ジャン。そして何よりも確信を強めたのは、『左利き』であることと、ドリンクが『カフェオレ』であるという二点だ。今、私の隣で『ローズフラッシュ』を遊技しているのは、月刊パチスロキングで「喰うしかなかろが」を連載している誌上プロの「城之崎健一」――通称『きのけん』――に違いない。

私は、小学生の頃に初恋の女の子と教室で二人っきりになったときのように、胸が激しく高鳴った。

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長崎 正吾

  • 名前:長崎 正吾
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  • 1978年生まれ。34歳の夏、職を失う。20代の頃にスロットで生活していたことを思い出し、フラリとホールへ舞い戻る。そのままスロット生活者へ。基本的にはジャグラーシリーズのみを打つスタイル。スロットで糊口を凌ぐ傍ら、iPhone/Android向けアプリ「ジャグラーで喰う技術1&2」をリリース。

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