六本木ヒルズからの七転八倒

【師弟編11】合コン!こんな店で!

←BACK【師弟編10】大衆居酒屋に浮かぶ雲

「ハイ!レモンサワーと生中おかわりね。カルピスサワーがお嬢さんかな?」

看板娘のおばちゃんが、飲み物とお通しのきゅうりの酢の物を運んできた。

「木部、お前それ何杯目だよ?」

「まだ全然ッスよ!三杯目です!」

「もう二杯も飲んだの?お前ムチャすんなよ……」

「全然大丈夫ッスよ!最近これくらい毎日呑んでますから!」

そう言って、木部は三杯目のビールを口に運んだ。私と裕子はその姿を呆然と見守るしかなかった。

「かーっ!いやー、彼女さん、ベッピンさんですねー。先輩、うらやましい限りっスよ」

木部は上唇についたビールの泡をおしぼりで拭った。裕子はもはや呆れ返っている。私は無言でお通しの酢の物に箸をつけた。お酢の爽やかな酸味が口に広がり、きゅうりの食感が心地よい。

「どこで知り合ったんですか?生協でバイトしてた頃から付き合ってたっていうアノ人ですよね?先輩、結局紹介してくれずにバイト辞めちゃうんスもん!」

「お前に紹介するとちょっかい出されると思って紹介しなかったんだよ。」

「なんすかソレ!先輩の彼女に手出すわけないじゃないスか!失礼な!」

木部はフグのように頬を膨らませた。その滑稽さに、裕子が思わず吹き出した。

「裕子と知り合ったのは、そこだよ」

私は店の中央あたりで談笑するサラリーマン集団の方を箸で指した。

「え!?ここでッスか?彼女さん……森さんでしたっけ?ココで働いてたんですか?」

裕子は椅子に深く座り直してから、かぶりを振った。

「合コン!こんな店で!」

「マジっスか!?いつの間にそんなことしてたんですか?俺、全然聞いてないッスよ!」

木部が覗きこむように私を詰問してきた。私は思わず身体を仰け反らせた。

「いや、その時だけだよ。杉本さんとか覚えてる?あの人たちとね」

私が言うと、木部はがっくりと頭をテーブルへと打ちつけた。

「なんでそんなに落ち込むんだよ。木部も彼女いたよな?」

私の問いかけに木部は答えようとしなかった。

→NEXT【師弟編12】ハロウィンのコスプレ

profile

長崎 正吾

  • 名前:長崎 正吾
  • 性別:
  • 誕生日:
  • 血液型:
  • 出身地:
  • 好きなもの:
  • 嫌いなもの:
  • 1978年生まれ。34歳の夏、職を失う。20代の頃にスロットで生活していたことを思い出し、フラリとホールへ舞い戻る。そのままスロット生活者へ。基本的にはジャグラーシリーズのみを打つスタイル。スロットで糊口を凌ぐ傍ら、iPhone/Android向けアプリ「ジャグラーで喰う技術1&2」をリリース。

calender

4月≫
 12
3456789
10111213141516
17181920212223
24252627282930

戻る