六本木ヒルズからの七転八倒

【師弟編110】設定6に座る確率

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「一万枚?」

五十嵐さんは下皿のコインに目をやり、小さく呟いた。

「でもまぁ、それは設定6で尚且つ運が良ければという話です。そもそも、設定6かどうかもわからない――というか、設定6なんてあっても一台です。確率で言うならだいたい1/30くらいですよ」

「1/30ですか……」

「そうです。その1/30の確率で存在する設定6を木部が見事に選んでいたら、プラス1000枚なんて余裕でクリアします」

少し希望が見えたのか、五十嵐さんは俯いていた顔を上げ、目線を斜め上にやって考えを巡らせ始めた。そこに、裕子が割り込んできた。

「ただね、29/30の確率で存在する設定1の台に座ったとしても、プラス1000枚くらいだったらサクッと出ちゃうことが結構あるんだよね、パチスロって」

裕子は訳知り顔で言った。私も同調するように頷いた。確かに裕子の言うとおり、1000枚くらいならば設定など関係無しに『ヒキ』次第でなんとかなってしまう。それがパチスロの面白いところでもあり、怖いとろこでもある。

五十嵐さんは僅かな希望を打ち砕かれたように落胆の表情を見せた。だがすぐに顔を上げた。

「でも、その設定6よりも設定1の方が1000枚出す可能性は低いということですよね?」

私と裕子は顔を見合わせて頷いた。

「それなら、彼を……木部を、設定1の台に移動するように仕向けたらいいんじゃないんですか?」

五十嵐さんは、与えられた状況から最善手を考えだすことに長けているのだろう。私は全身の力が抜ける感覚に襲われると同時に、今日この店に来たことを後悔し始めていた。

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長崎 正吾

  • 名前:長崎 正吾
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  • 1978年生まれ。34歳の夏、職を失う。20代の頃にスロットで生活していたことを思い出し、フラリとホールへ舞い戻る。そのままスロット生活者へ。基本的にはジャグラーシリーズのみを打つスタイル。スロットで糊口を凌ぐ傍ら、iPhone/Android向けアプリ「ジャグラーで喰う技術1&2」をリリース。

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