六本木ヒルズからの七転八倒

【師弟編111】『スゴ腕営業マン』か『詐欺師』か

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「良いアイデアじゃん!それで行こう!」

裕子が五十嵐さんの顎のあたりを指差して言った。相変わらず妙なところで人を煽るのが好きな娘さんだ。私は裕子の右肩を軽く小突いてから、五十嵐さんを諭した。

「そうは言いますけどね、そもそも設定というのは外側からは判断できないんです。だからどの台が設定1かなんて誰にも分からないんです。それに、今木部が座っている台だって、設定1の可能はかなり高いんですよ」

せっかくの妙案を軽くいなされたのが不満だったのか、五十嵐さんは閉じた口の中で歯を食いしばっているようだった。私は構わず続けた。

「それに、設定1の台を上手に避けるスキルがあるからこそ、木部はここまで勝ちを積み上げることができたんです。そうでしょう?」

そうたたみ掛けると、五十嵐さんの顔はさらに不満の色を濃くした。その間で裕子は笑いを噛み殺したような顔で黙っている。おそらく、この状況を楽しんでいるのだろう。私が呆れて台に向き直ろうとした時、五十嵐さんの尖らせた口が動いた。

「お願いします!なんとかしてください!お二人とも、プロなんでしょ!!」

……一体、何の『プロ』だというのか。私は自分自身をスロプロだと思ったことは無いし、現在絶賛無職中だ。そもそも、『特定の人物を設定1の台に誘導するプロ』であるならば、それは『スゴ腕営業マン』か『詐欺師』のどちらかではないだろうか。少なくとも、私と裕子がそれらに該当しているとは到底思えない。

私がそのことを説明しようと五十嵐さんの方を向くと、裕子が半笑いで私の肩を掴んできた。

「頑張ってね!プロ!」

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長崎 正吾

  • 名前:長崎 正吾
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  • 1978年生まれ。34歳の夏、職を失う。20代の頃にスロットで生活していたことを思い出し、フラリとホールへ舞い戻る。そのままスロット生活者へ。基本的にはジャグラーシリーズのみを打つスタイル。スロットで糊口を凌ぐ傍ら、iPhone/Android向けアプリ「ジャグラーで喰う技術1&2」をリリース。

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