六本木ヒルズからの七転八倒

【師弟編112】ダメでしょ、スロプーなんて

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私は思わずため息をつき、二人を無視するように遊技を再開した。

「ちょっとプロ!無視しないでよ!木部っちがどうなってもいいの?」

「うるさいなぁ、木部がどうなるっていうんだよ?」

「1000枚出してスロプーになっちゃうよ?」

「ダメなの?」

「ダメでしょ、スロプーなんて」

どの口が言うのかと諭したかったが、それも理解したうえで強弁しているのだろうと、私は言葉を飲み込んだ。それにしても奇妙なのは、いつの間にか裕子と五十嵐さんの間に『共同戦線』のようなものが張られていることだった。

裕子は五十嵐さんからスロプーという存在を否定されたとき、強く反発した。だが今では、スロプーに片足を突っ込みそうになっている木部を真っ当な道へと引き戻そうと腐心している。それが何のためなのか、また誰のためなのか。真剣さと不真面目さが入り混じった裕子の表情からは、それを正確に読み取ることはできなかった。

「わかった!アタシが今から木部っちに、スロプーがいかにダメな存在かってことを教えてくるよ!」

私は半開きになった口を閉じることができなかった。

「スロプーなんて社会の底辺だよ!スロットなんか本気でやるもんじゃない、遊びでやるもんだよってさ」

同意するように五十嵐さんが頷いた。『遊びでやるもの』という点にはついては同意する部分もあるが、『社会の底辺』とは、だからどの口が言うのか、と。

裕子は「まかせとけ」とばかりに親指を立てて、おもむろに席を立ち上がった。

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長崎 正吾

  • 名前:長崎 正吾
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  • 1978年生まれ。34歳の夏、職を失う。20代の頃にスロットで生活していたことを思い出し、フラリとホールへ舞い戻る。そのままスロット生活者へ。基本的にはジャグラーシリーズのみを打つスタイル。スロットで糊口を凌ぐ傍ら、iPhone/Android向けアプリ「ジャグラーで喰う技術1&2」をリリース。

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