六本木ヒルズからの七転八倒

【師弟編116】外れろ!

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「木部ェ!全然ダメじゃん!」

「まだ始まったばっかじゃないッスか。まだまだこれからですよ」

木部の言葉は自信に満ち溢れ、迷いのようなものは微塵も感じられなかった。

「でも大花火なんか打つんだな。朝イチはもっと荒いAT機でも打つのかと思ってたけど」

「まぁ……今日が最終日ですからね。キッチリ打ちたくて。この台がダメだったらその時考えますよ」

木部は私と会話している間も、ウエイトを掛けて遊技を続けた。木部の言動はこの一ヶ月ですっかりスロプロのそれに変化していた。私はそんな木部に、嬉しさを感じると同時に、少なからず罪悪感を覚えるようになっていた。

木部がレバーを叩くと同時に、筐体上部の『鉢巻リール』が回り始めた。

――外れろ!

私が心の中でつぶやくと、左リールにチェリーが停止した。外れだ。木部は何事もなかったかのように中・右リールを停止させた。そのとき、ふと気がついた。自分を慕ってくれる後輩に対して、『外れろ』などと祈ってしまっている。私は自分が恥ずかしくなった。

「じゃあ、頑張れよ!大花火なら低設定でもちょっと連チャンすればすぐ1000枚くらいプラスになるだろ」

そう発破をかけると、木部は苦笑いを浮かべた。

「それじゃダメッスよ。ちゃんと高設定つかんでブン回さないと。先輩が教えてくれたんじゃないですか」

私は「そうだったな」と小さく言い、大花火のシマをあとにした。

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長崎 正吾

  • 名前:長崎 正吾
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  • 1978年生まれ。34歳の夏、職を失う。20代の頃にスロットで生活していたことを思い出し、フラリとホールへ舞い戻る。そのままスロット生活者へ。基本的にはジャグラーシリーズのみを打つスタイル。スロットで糊口を凌ぐ傍ら、iPhone/Android向けアプリ「ジャグラーで喰う技術1&2」をリリース。

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