六本木ヒルズからの七転八倒

【師弟編118】明日からも、スロプー

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あえて煙に巻くような言い方をしてみたが、やはり、というか当然のごとく、五十嵐さんが身を乗り出して反応してきた。

「覚悟って、どういう意味ですか?」

私はMAXベットボタンの横に肘を置き、頬杖をついて二人の顔を見やった。

「だからさ……今日の結果がどうあれ、もうスロット一本で食っていく覚悟ができちゃってるんじゃないのかなぁ……と」

木部の言動から受け取った感触を、そのまま二人に伝えた。五十嵐さんは露骨に眉をひそめた。裕子は多少思い当たるところがあったのか、さもありなんといった様子でゆっくりと首を下げた。

「結果がどうあれって……今日1000枚以上出さないとダメなんじゃないんですか?」

五十嵐さんが前のめりになった。間にいる裕子の上に乗しかからんばかりの勢いだ。

「確かに目標はその通りです。でも『一ヶ月で二十万』なんていうのも、呑みの席で出てきた目安にですからね」

険しい表情を崩さない五十嵐さんから目をそらして、続けた。

「今の木部なら、やろうと思えば月二十万を安定して続けることも可能だと思いますし、それを木部自身が自覚している節があります。『俺ならやれる』と。だから、今日もし1000枚以上のプラスを出せなかったとしても、明日以降もスロプー生活を続けるのではなかろうかと……」

五十嵐さんの眉が八の字に歪み、今にも泣きそうな顔になった。私は慌ててフォローを入れた。

「いや、五十嵐さん。あくまでも僕の勝手な推測ですから。別に木部がそう言ったわけじゃないですからね。あまり深刻に捉えないで……」

私の言葉が耳に届いていないのか、五十嵐さんは表情を変えなかった。二人の間でじっと黙っていた裕子が、突然、ネコをあやすように五十嵐さんの顎を指先でくすぐった。五十嵐さんは思わず吹き出し、裕子と顔を見合わせた。

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長崎 正吾

  • 名前:長崎 正吾
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  • 1978年生まれ。34歳の夏、職を失う。20代の頃にスロットで生活していたことを思い出し、フラリとホールへ舞い戻る。そのままスロット生活者へ。基本的にはジャグラーシリーズのみを打つスタイル。スロットで糊口を凌ぐ傍ら、iPhone/Android向けアプリ「ジャグラーで喰う技術1&2」をリリース。

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