六本木ヒルズからの七転八倒

【師弟編120】二人の食事休憩

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昼をとうに過ぎた頃、裕子が首のあたりに手をあてて、ぐるぐると肩を回し始めた。携帯電話に目を落とすと、十四時近くになっていた。

「食事休憩にしようか」

私が裕子の耳元に顔を近づけて言うと、裕子は伝言ゲームのように五十嵐さんに伝えた。すると今度は五十嵐さんの方から伝言ゲームが回ってきた。

「木部っちはどうすんの?だって」

裕子が私の耳元で言った。私は頷きながら椅子から立ち上がり、大花火のシマの方を親指で指し示した。

大花火のシマの端から覗いてみると、なぜか木部の姿が見当たらなかった。私は両側に並ぶ椅子の背もたれを軽く触れながら、木部が打っていたはずの台へと近づいた。

そこには、木部の代わりに下皿に数十枚のコインと、『食事休憩中』と書かれた札がリール盤面に貼り付けられていた。データ表示機に目をやると、ちょうど数字が5から4へと変化した。

頭を掻きながらジャグラーのシマに戻ると、裕子と五十嵐さんの台に店員が『食事休憩中』の札を貼り付けているところだった。

「こちらの台も食事休憩でよろしいですか?」

店員が尋ねてきたので、私はそれを制した。

「木部のやつ、一人で食事休憩行っちゃってたよ」

そう伝えると、二人は双子のようにシンクロしながら目を丸くした。

「あと五分くらいで戻ってくるみたいだから、とりあえず先に二人で行っといてよ。俺は木部と少し話してから行くから」

私がその意図を視線で伝えると、裕子は自然に視線を外し、五十嵐さんの背中を押して店の外へと出て行った。

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長崎 正吾

  • 名前:長崎 正吾
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  • 1978年生まれ。34歳の夏、職を失う。20代の頃にスロットで生活していたことを思い出し、フラリとホールへ舞い戻る。そのままスロット生活者へ。基本的にはジャグラーシリーズのみを打つスタイル。スロットで糊口を凌ぐ傍ら、iPhone/Android向けアプリ「ジャグラーで喰う技術1&2」をリリース。

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