六本木ヒルズからの七転八倒

【師弟編121】絶食!他店チェック

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私は自席に座り、五分ほど時間を潰さなければならなくなった。現金投資は止まっていたものの、下皿のコインはあと数十枚しかない。コインの共有が認められている店とはいえ、今は空き台となっている裕子の台からコインを拝借するわけにはいかない。私はコインがなくならないように、ゆっくりとゲームを消化した。

しばらく遊技を続けていると、ふいに肩を叩かれた。振り返ると、木部がこちらを見下ろしていた。

「先輩、一人ッスか?二人は?」

「お前が一人で食事休憩行っちゃうからだろぉ。四人で食事行こうと思ってたのに……」

木部は申し訳なさそうに顎を引いた。

「食事に行ったわけじゃなくて、他の店の状況をチェックしに行ってたんですよ。なんかこの店の大花火、今日はダメっぽい感じがするんで」

それを聞いて私は少し驚いた。食事休憩を利用して他店の状況をチェックするなんて、私でさえやらないことだ。これこそがスロプロのあるべき姿なのかもしれないと思うと同時に、一人一回しか食事休憩を取れないこの店でこのまま打ち続けて、空腹にどう対応するつもりだろうかと他人ごとながら心配になった。だが、そんな食生活の結果が、木部のスレンダーな体型なのだろうと一人で納得した。

「とりあえず、ちょっと休憩スペースで話ししない?」

私が店の奥を指差すと、木部は「イイッスよ」とつぶやき、口の端を上げた。

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長崎 正吾

  • 名前:長崎 正吾
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  • 1978年生まれ。34歳の夏、職を失う。20代の頃にスロットで生活していたことを思い出し、フラリとホールへ舞い戻る。そのままスロット生活者へ。基本的にはジャグラーシリーズのみを打つスタイル。スロットで糊口を凌ぐ傍ら、iPhone/Android向けアプリ「ジャグラーで喰う技術1&2」をリリース。

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