六本木ヒルズからの七転八倒

【師弟編122】下皿満タン、だった

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「奢りッスか?ありがとうございます!じゃあ俺、カフェオレで」

休憩スペースに入るやいなや、木部はペコペコとわざとらしく頭を下げて、自動販売機を指差した。こういうところは本当に憎めないヤツだ。
私は、二本買ったカフェオレの一本を木部に差し出し、ソファに腰を下ろした。

「今、投資金額いくら?」

私は単刀直入に尋ねた。

「二万です。持ちコインは100枚も無いくらいですね。カド台が高設定っぽい挙動なんで、俺の台はたぶんダメッスね」

そう言って、木部はカフェオレを一口飲み、テーブルへと置いた。

「先輩はどうなんですか?となりの二人は箱使ってたみたいですけど」

「あの二人は仲良く順調だよ。俺は一万二千円使って下皿満タンくらいまで出たけど、もう少しでノマれるとこ」

戦況報告を終え、私もカフェオレを喉に流し込んだ。

「男性陣はヒキが弱いって、裕子が笑ってたよ」

「確かに。ところで、みゆのヤツ……アイツ、先輩たちに迷惑掛けてないッスか?」

木部がこちらを覗き込んできた。

「別に迷惑なんか掛けられてないよ。礼儀正しいし、言葉遣いも綺麗だし、美人だし、いい彼女じゃない」

私が冗談めかして言うと、木部は僅かに笑みを浮かべ、テーブルの上に放置されているスロット雑誌に視線を落とした。木部の笑みが照れ隠しによるものなのか、それとも『何もわかっていない』という意味の嘲笑なのか、私には判断がつかなかった。

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長崎 正吾

  • 名前:長崎 正吾
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  • 1978年生まれ。34歳の夏、職を失う。20代の頃にスロットで生活していたことを思い出し、フラリとホールへ舞い戻る。そのままスロット生活者へ。基本的にはジャグラーシリーズのみを打つスタイル。スロットで糊口を凌ぐ傍ら、iPhone/Android向けアプリ「ジャグラーで喰う技術1&2」をリリース。

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