六本木ヒルズからの七転八倒

【師弟編123】二つのドル箱を持つ男

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「木部……お前、今日負けたらスロットヤメるの?」

スロット雑誌に手を伸ばした木部に尋ねた。

「さぁ、どうなんでしょうね」

木部ははぐらかすように言った。私はさらに続けた。

「じゃあプラス1000枚まで捲ったら、本当にスロプーになるの?二万投資してるってことは2000枚出さなきゃダメだろ」

尋ねると、木部は首をひねりながらこちらを見た。するとすぐに木部は視線休憩スペースの入り口の方へと移動させた。視線の先を追いかけると、青いネルシャツを着た男が、二つのドル箱を重ねて歩いていくところが見えた。

木部は何かに気づいたように、おもむろに立ち上がった。私は何事かと木部の顔を覗き込んだ。

「空いた!」

「は?何が?」

「『タイムパーク』が空いたんで俺、行ってきます!カフェオレありがとうございました」

木部はおざなりな礼を言うと、カフェオレをすべて飲み干した。

「何?移動すんの?」

私が尋ねると、木部は空き缶をゴミ箱に放り投げて休憩スペースの外を指差した。

「あの人……今二箱持って流しに行った客、『タイムパーク』の高設定っぽい台を打ってた人なんですよ。ヤメたみたいなんで行ってきます。じゃ!」

木部は小さく手を上げ、すぐに『タイムパーク』のシマへと消えてしまった。

自分が打っている機種だけではなく、他の機種の高設定台――しかも打っている人の特徴まで記憶しているとは。木部の背中を見送りながら、私は木部がすっかりプロのような行動を取れるようになっていることに驚きを隠せなかった。

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長崎 正吾

  • 名前:長崎 正吾
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  • 1978年生まれ。34歳の夏、職を失う。20代の頃にスロットで生活していたことを思い出し、フラリとホールへ舞い戻る。そのままスロット生活者へ。基本的にはジャグラーシリーズのみを打つスタイル。スロットで糊口を凌ぐ傍ら、iPhone/Android向けアプリ「ジャグラーで喰う技術1&2」をリリース。

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