六本木ヒルズからの七転八倒

【師弟編126】パチスロは、決断の連続

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「木部っち、なんて言ってたの?」

裕子は割り箸を口に咥えたまま、こちらを覗き込んできた。五十嵐さんの顔から笑顔が消え、身体に力が入ったのがわかった。私は逡巡するように視線を斜め上に投げてから、背もたれに身体を預けた。

「木部はねぇ……決断したんだよ」

たっぷりと含みのある言い方で、二人の間に言葉を放った。五十嵐さんの瞳が目を見開いた。

「何をよ?」

裕子は平静を装った口調で言った。五十嵐さんは黙って事の推移を見守っている。

私はがっくりとうなだれ、ため息をひとつ吐き出した。

「木部は今……『タイムパーク』への移動を決断した!」

となりから小さな舌打ちとともに、またしても裕子の左ストレートが肩にめり込んだ。

「痛いなあ!なんだよ、事実をありのままに伝えただけだろ?」

「そういうことじゃないでしょ?アホか」

裕子は五十嵐さんと顔を見合わせて「ねぇ」と同意を求めるように言った。五十嵐さんは困惑しながらも笑顔で首肯した。

「実際、それくらいしか話しできなかったんだよ。休憩スペースで話し始めたらさ、ネルシャツ着た男がドル箱持ってヤメるのが見えたんだよ。それ見た木部が『タイムパークが空きました!』って言ってさ、走って出て行っちゃったんだよ」

私は手振りを交えてその時の様子を二人に伝えた。裕子は「ふーん」とつぶやき、興味のない素振りを見せた。対面で黙ってこちらを見つめていた五十嵐さんが、静かに口を開いた。

「その……勝っちゃいそうなんですか?彼は……」

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長崎 正吾

  • 名前:長崎 正吾
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  • 1978年生まれ。34歳の夏、職を失う。20代の頃にスロットで生活していたことを思い出し、フラリとホールへ舞い戻る。そのままスロット生活者へ。基本的にはジャグラーシリーズのみを打つスタイル。スロットで糊口を凌ぐ傍ら、iPhone/Android向けアプリ「ジャグラーで喰う技術1&2」をリリース。

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