六本木ヒルズからの七転八倒

【師弟編128】「光れー!って」

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「まぁどういう結果になるのか、木部がどういう決断を下すのかさっぱりわからないけど、とりあえず五十嵐さんは今日プラスで帰れそうだからいいじゃないですか」

私は何の解決にもならない言葉を発し、牛丼を頬張った。これを食べると『嗚呼、今日もまた、スロット打っているんだなぁ』という微妙な気持ちにさせられる。

しばらく店内の喧騒だけが三人のBGMになった。丼の底に店名の刻印が見え始めた頃、五十嵐さんが口を開いた。

「でも……なんだかちょっとだけ分かってきたような気がします」

私は気のない素振りで紅しょうがを丼に添えた。裕子が五十嵐さんの目を見つめ、続きを催促する。

「『ジャグラー』っていうんですよね、あの台。まだパチスロのことなんて何も知らないですけど、すごく面白いです。もうドキドキしちゃいます。光れー!って」

嬉しそうに語る五十嵐さんにつられるように、裕子も顔をほころばせた。

「正直、なんとかして彼をパチスロから足を洗わせようと思って今日は来たんですけど……。なんだかどうでもよくなってきちゃいました」

屈託なく言う五十嵐さんに、私は少なからず驚いた。これがパチスロの魔力なのだろうか。

「まぁスロットの面白さを理解してくれたのは嬉しいですけど、木部がどうでもいいって言うのは……。今、道を誤ったら取り返しのつかないことになりますよ」

以前、五十嵐さんが言った言葉をそのまま借りて諭すと、黙って聞いていた裕子が眉を曲げ、

「道、間違いまくってるアタシたちが言っても説得力ゼロだって」

と、笑いとともに言い捨てた。

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長崎 正吾

  • 名前:長崎 正吾
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  • 1978年生まれ。34歳の夏、職を失う。20代の頃にスロットで生活していたことを思い出し、フラリとホールへ舞い戻る。そのままスロット生活者へ。基本的にはジャグラーシリーズのみを打つスタイル。スロットで糊口を凌ぐ傍ら、iPhone/Android向けアプリ「ジャグラーで喰う技術1&2」をリリース。

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