六本木ヒルズからの七転八倒

【師弟編131】リールのブレを見極めよ!

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私と裕子は顔を見合わせた。五十嵐さんの台の左リールには、上段に『7』が停止していた。だが、それだけでは偶然ということもありえる。

「じゃあ、もうひとつの『7』を狙ってごらんよ」

「きちんと狙えれば、おそらく『7』が下段に停止するはずです」

裕子の発言を補足するように、私は自分の台の左リール下段を指差した。

五十嵐さんは躊躇なくレバーを叩き、回転するリールを二三周凝視した。そして、おもむろに振り下ろされた親指の先で、『7』が下段に燦然と輝いていた。満面の笑みでこちらを見る五十嵐さんの表情は、裕子と初めてスロットに行ったときのそれと似ていた。

「スゴイですね!全部見えてるんですか?」

尋ねると、五十嵐さんはかぶりを振った。

「この回っている……コレって、左右に少しブレてますよね。さっき上に止めた『7』のあたりで左に揺れて、下の『7』のときに右に揺れるんです。それで見分けられます」

素直に驚いた。私が最初にスロットを打ったときに教えられた『リールのブレ』を、誰に教えられることなく自ら気が付いて実戦したというのだ。裕子は口をポカンとあけて半ばあきれている。

「これでいいんですよね?じゃあ『リプレイハズシ』を教えてくださいよ!」

嫌味のない笑顔で腕を掴まれた裕子は――何、この娘?――とでも言いたげな表情でこちらを向いた。

「手順は分かるでしょ?教えてあげなよ」

そう促すと、裕子は不満気に頬を膨らませた。

「そのかわり、わたしが裕子さんに目押しのやり方教えてあげますよ!」

いよいよ、どちらが師匠でどちらが弟子なのかわからなくなってきた。

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長崎 正吾

  • 名前:長崎 正吾
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  • 1978年生まれ。34歳の夏、職を失う。20代の頃にスロットで生活していたことを思い出し、フラリとホールへ舞い戻る。そのままスロット生活者へ。基本的にはジャグラーシリーズのみを打つスタイル。スロットで糊口を凌ぐ傍ら、iPhone/Android向けアプリ「ジャグラーで喰う技術1&2」をリリース。

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