六本木ヒルズからの七転八倒

【師弟編132】母と娘の『7』戦争

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『親が子を育て、子が親を育てる』という言葉を耳にしたことがある。親が子を育てるのは至極当然のことだが、子もまた、親を育てるというのだ。

「そっちは上段の『7』ですよ。裕子さんは下段の『7』を狙うのが苦手ですね。ちゃんとリールの端っこ見てますか?」

なるほど、さもありなん。

「うるさいな!二分の一で当たるんだから別にいいでしょ!」

となりの二人を見ていると、そんな言葉を思い出した。
コインの借り方に始まり、コインを投入しレバーを叩く。ストップボタンを三つ押してGOGO!ランプが点灯したら『7』を揃える。時に叱咤する裕子の姿は、教育ママのようでもあった。

「二分の一でいいんですか?それじゃ得しないからやらない方がマシだって、長崎さんが仰ってたじゃないですか!」

だが、今はどうだ。面倒臭そうに『リプレイハズシ』の手順を教えた裕子に、今度は逆に五十嵐さんが『7』の狙い分け方を教えている。

「ジャグラーのハズシなんて元々効果が低いの!ビッグ一回で20枚くらいしか増えないんだよ。アタシは5回くらい多くビッグ引くからいいの!」

娘が母を育てる。母は露骨に反発する。微笑ましい光景を横目に、この場合での父――私は無言で席を立った。

「それでもプロなんですか!?」

もはや、売り言葉に買い言葉。だが、この二人の関係はそう簡単には切れることはないだろう。

「別にプロじゃないし!」

裕子の言葉を背中で聞きながら、一息つくために店の外に出た。すっかり陽が落ち、風俗店のネオンに明かりが灯っていた。右肩をマッサージしてから自動販売機でホットカフェオレを二本買い、店内に戻った。

遠目にジャグラーのシマの二人を確認してから、『タイムパーク』のシマを目指した。

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長崎 正吾

  • 名前:長崎 正吾
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  • 1978年生まれ。34歳の夏、職を失う。20代の頃にスロットで生活していたことを思い出し、フラリとホールへ舞い戻る。そのままスロット生活者へ。基本的にはジャグラーシリーズのみを打つスタイル。スロットで糊口を凌ぐ傍ら、iPhone/Android向けアプリ「ジャグラーで喰う技術1&2」をリリース。

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