六本木ヒルズからの七転八倒

【師弟編133】レギュラー、たった二回

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「どうよ?」

カフェオレを木部の肩口から差し出し、尋ねた。

「ありがとうござます。どうッスかねぇ。出るには出ましたけど……設定は怪しいって感じですよね。先輩、どう思います?」

台上のデータ表示機には『BIG 26 REG 15』の数字が表示されていた。

「そうか?十分じゃない?」

「でも、この台打ち始めてからレギュラー二回しか引けてないんですよ。さっきまで二箱目も使ってたんですけど、それもノマれちゃいましたしね」

「そうはいっても、タイムパークだぞ。リプレイハズシさえやればかなり甘いんだし、まだ粘っていいと思うけどな」

私なりのアドバイスを伝えると、木部は口を尖らせて赤べこの置物のように首を何度も上下に動かした。

「この台で粘り続けて2000枚超えるかどうか……それが微妙なんですよねぇ」

木部は顎を掻きながら台上のドル箱に目をやった。ドル箱には約1200枚ほどのコインが詰め込まれていた。下皿にはおよそ300枚ほど。ノルマ達成まで残り500枚といったところか。だがそれ以前に、木部が『二十万プラス』のノルマを意識していたことに少し驚いた。

「お前、『二十万プラス』のこと、まだ気にしてたんだ?てっきりそんなの気にしてないと思ってたよ」

「そりゃあ気にしてないことも無いですよ。ここまできたらキッチリ達成したいじゃないですか」

木部は、晴れ晴れとした表情で言い切った。その顔を見せられた私は、『達成したらスロプーになるのか?』という疑問を問いただすことができなかった。

「もし、ヤメて移動する時は声掛けてくれよ」と木部に伝え、『タイムパーク』のシマをあとにした。

ジャグラーのシマに戻る途中、この店の名物店長の姿が目に止まった。夜の設定発表パフォーマンスが始まる時間が迫っていた。

→NEXT【師弟編134】設定発表とぉ!参ります!

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長崎 正吾

  • 名前:長崎 正吾
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  • 1978年生まれ。34歳の夏、職を失う。20代の頃にスロットで生活していたことを思い出し、フラリとホールへ舞い戻る。そのままスロット生活者へ。基本的にはジャグラーシリーズのみを打つスタイル。スロットで糊口を凌ぐ傍ら、iPhone/Android向けアプリ「ジャグラーで喰う技術1&2」をリリース。

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