六本木ヒルズからの七転八倒

【師弟編135】せってぇぇぇい!ゴォォォォォ!

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「当店の自慢のノーマルタイプといえばぁ!!ジャグラーシリーズとぉ!!タイムパークゥ!!そして大花火ィ!!その中からぁ!!本日は!!」

店長が手持ちの札の中から『5』と書かれたものを手に取り、こちらに歩み寄ってきた。本当にこのあたりの台に挿されそうな雰囲気だ。

――俺の台俺の台俺の台俺の台ぃ!!こいこいこいこいこいぃぃ!!

この瞬間だけは今抱えている悩みなどすべてどうでもよくなってしまう。もちろん、木部のスロプー問題も、設定札の前では瑣末な事象へと成り下がる。平静を装っていはいるものの、私の興奮は最高潮に達した。

「GOGO!ジャグラーのぉ!!」

店長が私の背後で足を止めた。中年特有の加齢臭と安物の香水が混ざり合ったような香りが鼻に届く。私と裕子の間に店長の身体が入り込んできた。

「512番台のぉ!!女性のお客様ぁ!!おめでとうございますぅ!!せってぇぇぇい!!ゴォォォォォ!!」

私の台……のとなりの裕子の台に『5』と書かれた札が見事に挿された。

「店長大好き!ありがとう!」

裕子は足をバタつかせながら店長に投げキッスまでしてみせた。周囲の視線が痛かったので、その瞬間だけ他人のフリをしてレバーを叩いた。店長は笑顔を振りまいて、颯爽と次の設定公開台の選定に消えていった。

「これって、さっき言ってた設定が『5』ってことですか?」

五十嵐さんが設定札を指差して尋ねると、裕子は手のひらを口にあてて何度も頷いた。

「スゴイですね!6段階の上から二番目ってことですよね?」

「まぁね!プロだから!」

裕子は自分の二の腕を叩いた。どの口が言うのか、と思ったが、ここは言葉を飲み込んでおいた。

「タイムパークゥ!!……は置いといてぇ……」

シマの向こうから店長がまた姿を現した。どうやら、どの台に『6』の札を挿そうか決めあぐねているようだ。

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長崎 正吾

  • 名前:長崎 正吾
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  • 1978年生まれ。34歳の夏、職を失う。20代の頃にスロットで生活していたことを思い出し、フラリとホールへ舞い戻る。そのままスロット生活者へ。基本的にはジャグラーシリーズのみを打つスタイル。スロットで糊口を凌ぐ傍ら、iPhone/Android向けアプリ「ジャグラーで喰う技術1&2」をリリース。

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