六本木ヒルズからの七転八倒

【師弟編137】『6』だよ!アホか!

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「あの……裕子さん、コレって」

五十嵐さんは『6』と書かれた札を指差した。

「設定『6』ってことだよ」

裕子が顔をひきつらせて答えた。

「……ってことは、裕子さんの『5』よりも良いってことですか!?」

「そうだよっ!!設定は6段階しかないって説明したでしょ!!わざわざ低設定を発表する店長がいると思う?アホか!」

「アホってなんですか!初心者なんだから優しく教えてくれてもいいんじゃないですか!」

「うっさい!さっさと回してたくさん出しなさいよ!アンタのコインはアタシのコインでもあるんだからね!」

五十嵐さんが設定『6』を掴んだことが余程悔しかったのか、裕子は突き放すような口調でまくし立てた。そもそも裕子は、この店でもっとも高設定が投入される傾向が強い『カド2』に自分が座り、その隣に五十嵐さんを座らせたに過ぎない。それほど強い根拠も無しに台を選んでおいて、自分よりも設定が良かっただけでそこまでカリカリする必要もないと思うのだが。

女の戦いの一部始終を見届け、自分の台に向き直ったとき、背後に気配を感じた。振り返ると、木部が苦笑いで立っていた。

「なんか、やりあってますね」

木部が耳打ちしてきた。木部の存在に気がついた女性陣もこちらに顔を向けた。

「仲良くやってるよ。すっかり師匠と弟子みたいだろ。五十嵐さんの方が師匠だけどな」

私が五十嵐さんの台の上に挿された『6』の札を指差して言うと、裕子が私の左肩を叩いた。

「木部っち、『タイムパーク』の調子はどうなの?」

裕子が尋ねると、木部は口を歪め、顔の前で手刀を振った。

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長崎 正吾

  • 名前:長崎 正吾
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  • 1978年生まれ。34歳の夏、職を失う。20代の頃にスロットで生活していたことを思い出し、フラリとホールへ舞い戻る。そのままスロット生活者へ。基本的にはジャグラーシリーズのみを打つスタイル。スロットで糊口を凌ぐ傍ら、iPhone/Android向けアプリ「ジャグラーで喰う技術1&2」をリリース。

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