六本木ヒルズからの七転八倒

【師弟編138】高設定じゃない、とは言い切れない

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「なんか今日は『タイムパーク』に高設定はなさそうな気がするんですよ。先輩、どう思います?」

「そうなの?毎日一台くらいは入ってそうだけどな。他の台もダメだったっけ?」

聞き返すと、木部は小さく首を傾げた。

「さっきの設定発表の時、店長が店の中をぐるぐる徘徊するじゃないですか。そのとき『タイムパーク』のシマはまったく眼中に無い感じだったんですよ。結構粘ってる客も多かったんですけどね」

「あー……なるほどね」

私は腕組みして思わず唸った。ここの名物店長は、粘っている客が打っている高設定台に設定札を挿す傾向がある。タイムパークの客は結構粘っていたらしかったので、その中から高設定発表台を選んでもおかしくない状況ではあった。だが、実際には『タイムパーク』のシマで裕子や五十嵐さんのように『5』や『6』の札をゲットした客はいなかった。

「だからといって、今打っている台が高設定じゃないと言い切れないんじゃない?」

私はあえて、木部に迷いを誘う疑問を提示した。正直、木部が打っている台が高設定の可能性は低いと予想していた。だからこそ、木部には申し訳ないが、もう少し粘ってコインを減らしてくれないかと考えたのだ。

「もし先輩ならあの台で粘りますか?ヤメますよね?」

痛いところを突いてきやがる。いつのまにやら、打つかヤメるかの判断力も私と同程度かそれ以上になっているようだ。弟子が立派に育ったことを喜びつつも、もう木部を止めることはできないだろうなと、諦めにも似た気持ちが心を覆うのを感じていた。

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長崎 正吾

  • 名前:長崎 正吾
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  • 1978年生まれ。34歳の夏、職を失う。20代の頃にスロットで生活していたことを思い出し、フラリとホールへ舞い戻る。そのままスロット生活者へ。基本的にはジャグラーシリーズのみを打つスタイル。スロットで糊口を凌ぐ傍ら、iPhone/Android向けアプリ「ジャグラーで喰う技術1&2」をリリース。

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