六本木ヒルズからの七転八倒

【師弟編14】『見せパン』履いてるよ!変態!

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「オレのことなんてどうでもいいんスよ!それより先輩、バイトとスロットで喰ってるって言ってましたよね?一体どんな生活してるんですか!詳しく聞かせてください!まずはバイトから!」

木部は箸で取り皿のフチをカツカツと鳴らし、催促した。

「あぁ、それねぇ……」

私が言い淀むと、隣の裕子から肘鉄が飛んできた。

「何?バイトなんてやってるって言ったの?そんなのやってないよ」

「マジッスか?先輩!オレに嘘ついたんですか!ヒドいじゃないッスか!」

「いや、まぁね……。それより、あのスカート短すぎない?」

私は二人の追求をかわそうと、窓の外のキャンペーンガールを指差した。

「そんなのどうでもいいですよ!どうせ『見せパン』履いてますよ!」

「そうだ!変態!」

火に油を注ぐとはこのことか。小さな嘘から出火したボヤが、思わぬ延焼を始めてしまった。

「いや、まぁ……なんとなく言いにくいというか、そういうのってあるじゃん?」

私は答えにならない答えで取り繕った。

「じゃあどうやって生活してるんスか?ギターで食えてるんですか?」

木部は私の急所を容赦なく突いてきた。自分の中では終ってしまっているが、周囲には終わったとは公言していない、音楽への道。そこを触れられるはたまらなく辛かった。私が答えに窮していると、心中を察してくれたのか、裕子が代わりに答えてくれた。

「スロットだよ」

「マジっすか!?スロットだけで生活してるんスか!?」

木部は目を丸くした。『スロットで生活する』。聞く人が聞けば、己の腕一本で生活しているように思えるかもしれないが、世間一般の常識に照らし合わせれば、それはただの『無職』以外の何者でもない。社会経験の少ない私でもそれくらいのことは理解している。理解しているからこその、嘘だった。

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長崎 正吾

  • 名前:長崎 正吾
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  • 1978年生まれ。34歳の夏、職を失う。20代の頃にスロットで生活していたことを思い出し、フラリとホールへ舞い戻る。そのままスロット生活者へ。基本的にはジャグラーシリーズのみを打つスタイル。スロットで糊口を凌ぐ傍ら、iPhone/Android向けアプリ「ジャグラーで喰う技術1&2」をリリース。

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