六本木ヒルズからの七転八倒

【師弟編142】イチかバチかのジャグ連狙い

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「あと、プラス747枚でノルマ達成です」

ジャグラーのシマに戻った私は、女性陣二人の間から顔を出し、五十嵐さんに伝えた。
突然言われてもピンとこなかったのか、五十嵐さんは下皿のコインとドル箱を交互に見て首を傾げた。

「747枚って……どれくらいなんでしょうか」

「アンタの頭の上にあるドル箱がだいたい1000枚くらいだよ。下皿は500枚くらい」

私が答える前に、裕子が横から割り込んできた。五十嵐さんは納得したように頷いた。それにしても、私に耳打ちする時は『五十嵐ちゃん』と呼ぶのに、本人に対しては『アンタ』呼ばわりするのはどういう了見なのか。だが、五十嵐さんもすっかりこの関係性に馴染んでいるようだったので、咎める言葉は飲み込むことにした。

「747枚ってことは、『大花火』でもビッグ一回では届かないね。イチかバチかジャグ連狙いでもするのかな?」

裕子が上目遣いで尋ねた。

「どうだろうね。でも、今の木部だったらそんな偶然に頼るような立ち回りはしないんじゃないかな。高設定だって確信が持てるなら打つだろうけど」

私は二人の台に挿された設定発表札を指差した。

「じゃあ、アンタが台を譲ってあげればいいんじゃない?」

裕子が冗談めかして五十嵐さんの肩を叩いた。

「ダメですよ、そんなことしたら……。彼が、ノルマ達成しちゃうじゃないですか」

確かにその通りだ。この二人が貴重な高設定台を二台掴んだことで、期せずして木部のノルマ達成を阻むことになるのかもしれない。

私は自席に身体を滑り込ませると、まるで反比例するように五十嵐さんがおもむろに席を立った。

「わたし、彼と話してきます」

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長崎 正吾

  • 名前:長崎 正吾
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  • 1978年生まれ。34歳の夏、職を失う。20代の頃にスロットで生活していたことを思い出し、フラリとホールへ舞い戻る。そのままスロット生活者へ。基本的にはジャグラーシリーズのみを打つスタイル。スロットで糊口を凌ぐ傍ら、iPhone/Android向けアプリ「ジャグラーで喰う技術1&2」をリリース。

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